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暫く、考えに
「ねぇ、フェリア?」
「はい、何でございましょう?」
「【工房】でマジックアイテムじゃない普通のアイテムも作ることができるんだよね?」
「はい、普通のアイテムも作ることが可能です」
「その場合、素材はどうするの?」
「はい、普通のアイテムに素材は不要です」
そのうち僕が元の世界で着ていた服を再現してみようと思う。
装備バージョンを作っておくのもいいかもしれない。装備なら、着慣れた服にいつでも換装できて便利そうだ。
「じゃあ、もう一つ質問なんだけど、【魔術作成】で【知識魔法】を作ることはできるのかな?」
「それは分かりません」
「できるかもしれないってこと?」
「はい、可能性はあるかと……そういった発想ができるご主人様は流石です」
「例えば、本を刻印化して、読まなくてもその本の知識が得られるようにしたりとかどうだろう?」
「大変、素晴らしいアイディアだと思いますわ」
【魔術作成】で【知識魔法】を作ることはできる可能性があるようだ。それほど優先順位が高い題材ではないので、余裕ができたら試してみよう。
今日の狩りの成果を見るため『所持金』と念じる。
―――――――――――――――――――――――――――――
所持金 …………… 329661.15ゴールド
―――――――――――――――――――――――――――――
ちゃんと確認していなかったが、確か10万ゴールドを切っていたはずなので、ゴブリン退治で20万ゴールド以上も稼げたようだ。
ゴブリンは、コボルトより強いだけあって、効率も良いようだ。
「フェリア、今日の狩りで、君の所持金はいくら増えた?」
「増えておりませんわ。使い魔にお金は入りません」
そういえば、前にそんな話をしていたな。
「じゃあ、今日の狩りで得られたお金の半分を君に渡すね」
「いえ、
「でも、君も一緒に戦ったわけだし、倒したゴブリンの数はそう変わらないかもしれないけど、後半強い個体が出てきたときに君は活躍したわけだから、本来なら君のほうがより多くのお金を得られたはずだよ」
「お願いですから、そのようなお気遣いはしないで下さいませ」
「でも、僕の気が済まないよ……」
「
「じゃあ、今回だけ受け取ってよ。僕はトレードを自分からしたことがないからその練習も兼ねて」
「……畏まりました」
話に聞いた限りでは、『トレード』は、【大刻印】の基本機能だ。『アイテムストレージ』間のやり取りを行う機能を指して『トレード』と呼んでいるわけだ。
『トレード』
と念じてみる『対象を選択してください』という表示が出る。フェリアをターゲットにと考えていなかったのが問題だったらしい。
『フェリア』と念じる。『渡すアイテムを指示してください』と出たので、『10万ゴールド』と念じた。
「ご主人様、こんなにたくさんのお金はいただけませんわ!」
とフェリアが悲鳴のような声を上げる。
「え? 今日、ゴブリン狩りで稼いだ額の半分よりちょっと少ない額なんだけど?」
「まさか……。
「そうなの? 何でそんなに違うんだろう? ゴブリンだけで20万ゴールドは増えてるみたいなんだけど……」
「考えられる理由はただ一つです。ご主人様の素質が素晴らしいからですわ」
「素質でそんなに獲得金額が違うの?」
「はい、十倍程度違うことも珍しくはありません」
「そうなんだ……。でも、僕は才能がある人間ではないと思うけど……。『マレビト』……この世界の住人じゃないからという可能性もあるよね?」
「確かにその可能性もございますが、どちらにせよ素晴らしいことですわ」
「じゃあ、受け取って」
「……畏まりました」
―――――――――――――――――――――――――――――
所持金 …………… 229661.15ゴールド
―――――――――――――――――――――――――――――
僕の所持金が約23万ゴールドに減る。
明日、また狩りをすれば同じくらい稼げるのだから、何かに使おうと考える。
『とりあえず、消耗品を補充しておくか……』
手持ちが無くなったポーションを購入しておく。
目を閉じて、
【商取引】→『アイテム購入』
と念じてから、『体力・魔力回復薬』でアイテムを検索する。
―――――――――――――――――――――――――――――
・体力回復薬【ポーション】 ……… 100.00ゴールド [購入する]
・魔力回復薬【ポーション】 ……… 100.00ゴールド [購入する]
―――――――――――――――――――――――――――――
『女神の秘薬』よりはだいぶ安かった。
とりあえず、10個ずつ買っておく。
今日の戦闘で僕は魔力切れを起こしてピンチになった。敵がゴブリンという弱いモンスターだったから良かったものの、強い相手だったら危なかったかもしれない。
【魔術作成】
そう念じて、『改造』を選択する。『改造したい魔法を入力してください』と表示されるので、【メディテーション】と念じる。
【メディテーション】には、『体力→魔力変換量』という『変更可能項目』のバーがある。
他には、『自動起動条件』と『自動終了条件』というものがあり、
―――――――――――――――――――――――――――――
自動起動条件:体力=100 AND 魔力<100
自動終了条件:体力<90 OR 魔力=100
―――――――――――――――――――――――――――――
となっていた。
『体力→魔力変換量』を現在の100倍にして、
―――――――――――――――――――――――――――――
自動起動条件:体力>50 AND 魔力<50
自動終了条件:体力<50 OR 魔力=100
―――――――――――――――――――――――――――――
とする。
つまり、体力が半分以上ある状態でMPが半分を切ったら、100倍のメディテーションがHPが半分を切るかMPが全回復するまで発動するというものだ。
これは、強制的に発動したら死ぬ可能性がある危険なスペルなので、自動起動でしか使わないようにしたほうがいい。
試しに、『強制起動不可!』と念じてみたら、
―――――――――――――――――――――――――――――
自動起動条件:体力>50 AND 魔力<50
自動終了条件:体力<50 OR 魔力=100
追加条件:この魔術は、術者により起動することができません。
―――――――――――――――――――――――――――――
という追加条件が付加された。
『ホントにイメージでいろいろ操作できるんだ……』
と感動する。
[レシピ作成]
魔法の名前は、【ハイ・メディテーション】という名前にする。
『マニューバの指輪』を作ったときと同じ手順で『ハイ・メディテーションの指輪』を作成する。
『装備2』
と念じて、『マニューバの指輪』を『ハイ・メディテーションの指輪』に変更する。
―――――――――――――――――――――――――――――
上着:コットンシャツ
脚:革のズボン
足:革のブーツ
下着:魔布のトランクス
指輪:ハイ・メディテーションの指輪
―――――――――――――――――――――――――――――
そして、作業を終えた僕は目を開けた――。
―――――――――――――――――――――――――――――
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