第20話 「阿僧祇ヤバたんですネェこれ」
■ところ ジーファー甲板
■じかん 004日目 09:42 〜 10:01
■たいとる 「阿僧祇ヤバたんですネェこれ」
翌日。
国産み神話によると、アルゲニョンが、瞳を無数に持つ神ディミエンヌに槍を突き立てて、槍から落ちた雫が大地を作ったとされる。それによって生み出された土地がエンヌリハルと呼ばれた。メガフロートの『エンヌリハルの雫』はそこから取られた名前だ。
同じくその神話から取られた『アルゲニョンの槍』と呼ばれる攻撃システムがある。試験段階の自律武器
という話を、父親がする。
「はぁ。民俗学とか兵器システムの講義してるバヤイなのでしょか」とミレイは言う。りらせも口には出さないが同意する。
「それより今日は本州へ行って走り始める日でしょ」
どんより
ママの血と骨の付いたフロントガラスを交換し、車体もピンクに塗装してもらった。
「いや、その前に、伝えておこうと、思って」と、父親はりらせとあまり目を合わそうとせずにそわそわと甲板に引かれた
水柱があがる。
海の神がこの世に姿を
ずん、と地響き(甲板響き?)がして、視線をそちらに向けると、がっしりと腕組みをしたスーツ姿の
「さすがに起きてすぐじゃ慣れんわね」と言いながら、ママは自分の足元を確認しながら私(とミレイ)に近づいてくる。ウンコ踏んだかもしれない時の歩き方だ。
「ちょっと待ってミホロ。今は抱きつかないでね」とパパが両手を前にかざし、急に何かを警戒して、母親に先制。いつもはされるがままにママに抱きつかれキスされるパパなのに。なんの
「だいじょぶよー、だいじょぶ、さすがに今はハグしないわよ」とママが言う。そして私の方を向く。腕組みをしたまま、言う。「りらせ、あんたが生まれた時ね、私、『ああ、五体満足の、健康な子が生まれてきてよかった』、って、思っちゃったのよね」と言って、曇り空の、太陽がありそうな方向を向く。あるかはわからないけど。つられて、りらせとミレイも何もないその方向を向く。「あなたが手と足を使って、人間未満で動き回って、
「ね、私のママなんだかんだでちゃんと優しいでしょ」と私はミレイに言う。
「昨日、ワタシ、リラセチャンのママウエ殿の事、エクサヤバたんと言いましたが、テイセイしますね。
アソウギって何だし。
海面に
いつまでも
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます