第18話 相川舞夜は止まらない
自分の胸が貫かれる感覚など、味わったこともない。
味わえば、間違いなく死ぬからだ。
彼女の目には高らか腹を抱えて笑う姫島夜宵の姿が映っていた。
死ぬのか? そんな疑問が頭の中を過ぎる。
彼女にはずっと考えていたことがあった。それは以前、敵が学校に攻めてきた際にダンシングナイトが時を止めれるようになってからだ。
『時を加速する、遅れさせる、止める』ことはできても、『巻き戻し』はできないのかと。
今更ながら時間を自由に操るなど、禁忌に触れるものであるのは十分理解している。今ですら彼女の力は危険なのだ。
だが、もし。もしも彼女がその力を手にすることができたなら、間違いなく最強の霊使いと言える。
「戻れ……」
胸を貫かれても微かに残っっている意識の中で、彼女が囁いた。
まだ息をしていることに笑っていた夜宵も驚いたが、すぐにトドメを刺すべく、先ほど爆発して飛散したタンクローリーの部品で先の鋭利なものを構える。
「今度こそ終わりよ。首から体を引き離せば、さすがのあなたも死ぬでしょう」
舞夜の喉元に部品を当てがった彼女は一度離して、横から斬りつけようとした瞬間、
「ダンシングナイト! 時よ、巻き戻れ!」
最後の力を振り絞って舞夜が叫んだ。
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