3

 戻ってきた朱音を見て、恋歌は立ち上がった。床を覆っていた、心の氷も溶けている。

「終わったの?」

 恋歌に言われて、ああ、とだけ朱音は返す。

 二人の顔に終わったという安心感が戻った瞬間、朱音は背中から衝撃を覚えた。

そして、自分の背後から胸元を突き抜けている手が見えた。

 心臓が抉り出されているのに気づき、大量の血を吐いた。

「あ、朱音! どうなってるのよ!」

 パニックになった恋歌と怯える心、身構える夜春の前で朱音の心臓が潰され、血肉が彼女達の顔にかかり、腕を引き抜かれた朱音はゆっくりと倒れる。

 代わりに立っていたのは、東王高校の制服を着た金髪の少女であった。

「ざんねーん、まだ終わっていませんでした」

 満面の笑みの少女の手は、朱音の血で真っ赤に染まっている。

 

 日が落ちて、歩道には仕事帰りの社会人や部活が終わったであろう学生が大勢いた。

 そんな中、舞夜はようやく教えられたビルの入り口に辿り着いた。

 ずっと走っていたことにより、制服は汗でぐっしょりと濡れている。

 風が吹くと、それが肌に貼り付いて、今度は肌寒さを覚えた。

 皆はもう戦っているのか。

 足の血もまだ止まらない、既に一戦を交えてきた彼女で役に立てるのかという思いを持ちながらも彼女はビルの中へと入って行った。

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