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「穂積、しっかりしなさい! 今治療するから!」

 その時、保健室の扉を開けたのは甘利が操る男子生徒であった。

 紬を捕らえて連れてきたのだ。

 甘利の側まで連れてこられた彼女の胸ぐらを力いっぱいに掴んでみせる。

「お前の仲間のせいで、私の仲間が大ケガをした! 殺してやる!」

「あんただって、私の友達を殺そうとしてた。お互い様でしょ」

 彼女はそれ以上何も言わずに棚から包帯や薬を取り出してきた。

「出血が酷い。こんな学校の設備じゃ、到底治せない」

「随分とお困りのようね」

 また入口から声が聞こえてきた。

 朱音と恋歌が立っている。

「お前達……! よくも! よくも!」

「交換条件といきましょう。もう少しすれば、あんたの仲間の傷を治せる力を持った私達の仲間がくる。今すぐ紬を解放するなら、助けてあげるわ」

 恋歌はベル・スターを構えながら彼女に交渉する。

しかし、冷静さを失っている彼女は逆に紬を自分の側に寄せ、手にしていたハサミを喉元に突きつける。

 一瞬の内にして両者に緊張が走った。

 恋歌は狙いを定めようとするが、紬が盾の役割として使われている為、無闇に撃つことができないでいる。

「交換条件? ふざけるな、穂積を治せ! じゃないと、お前の大切にしているこの女を殺してやる!」

「待ちなさい! 仲間が来たら、ケガを治してもらう。それで、あんた達は見逃すし、約束するわ。だから、紬を放して」

 興奮状態の甘利に対し、恋歌はベル・スターを戻す振りをして一発撃った。

 弾は甘利の横を過ぎていくが、それは恋歌の狙いである。

 撃ったことに対し、甘利はいよいよ本気でハサミを紬の喉に突き立てようとした時、戻って来た弾が彼女の背中に命中する。

「ベル・スターの弾丸は、私の意思で自由に動かせる」

 手からハサミを落として彼女は倒れこんだ。

「し、死んだの?」

 甘利が倒れたことにより解放された紬は、恋歌の元へと走り寄って訊いた。

「大丈夫、死んでない。ただ、眠ってるだけだから」

 ベル・スターの麻酔弾を使ったことにより、寝息を立てている。

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