第11話 敵対思想と戦闘服

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 凛子が望んでいた七人の霊使いが揃ったのは六月の始めであった。

  ただ、未だに霊使いを送り込んで彼女達を襲う、“あの人”の正体が掴めないままであった。

「これで七人揃った。そこで、当面の目標を更新することにしたわ。“あの人”と呼ばれる、敵のボスを見つけて叩く」

 全員に向けて凛子が宣言する。

 今日は珍しく清蘭市に来ていた。

 マリアの学校が遅くに終わった為、近くのファミレスに来ていたのだ。

「朱音と天音が襲われてからは特に動きを見せてこない。でも、油断させた所を攻撃してくるかもしれない」

「凛子さんの言う通り。あり得ない話じゃない。ここ最近、ウチの近くで物騒な事件が頻発してる」

 朱音が言うに、最近の荒波市では銃撃事件が度々起こっているという。

 ニュースにもなっているので、他の皆も知ってはいた。

 死者は未だ出ていないが、 負傷している者は何人も出ている。

 犯人は未だ捕まっておらず、犯行に使われたとされる凶器も出てこない。

 傷跡から銃で撃たれたものであるというのが分かる程度。

 それも弾の種類が違う為、同じ人間の犯行かも区別がつかない状況だ。

「その事件、私の勘ではあるけど、霊使いが関わってそうね。とにかく、恋歌と朱音は注意して。その犯人があなた達の学校を狙ってくる可能性がないとも言い切れない」

 凛子の忠告に二人は頷く。

「この七つの市には霊使いが特に多い。その分、力を悪用する輩の割合も高くなる。皆を巻き込んだ私が言えることじゃないけど、気を付けて」

 いつも以上に真剣な面持ちで語る彼女の様子に全員は沈黙する。

 それを見兼ねたのかは分からないが、彼女の声が打って変わって明るくなる。

「今日は遅くまで残ってもらったし。皆がよければ、ここで食べていかない? 勿論、私が経費で落とすから」

 胸を張って言う彼女に遠慮する様子もなく、新しく仲間となった夕凪夜春がメニューの中からいくつか注文し始めた。

 それに便乗する形でそれぞれメニューを見ながら何を食べるかの話題で盛り上がるのを、凛子はただ笑って見つめていた。

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