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 謎の少女、久世真冬に占ってもらうため、四人とも東王市の人気スイーツ店にあるプリンを求めて走っていた。

「そんなに走らなくても、まだ時間は、ありますよ」

 息を切らしたマリアが恋歌に向けて言うが、彼女は店にその人気プリンが残っている可能性は低いと返す。

 しかし、焦っていた彼女は周りが見えていなかったのか、横断歩道に差し掛かった際、信号が赤に変わったのにもかかわらず車道に飛び出したのだ。

 そして、その横から大型のトラックが突っ込んでくるのが見える。

「恋歌!! ダンシングナイト!」

 後から追っていた舞夜がトラックの動きを遅くする。

 全員が横断歩道を渡り終えてから、ダンシングナイトの能力を解除されたトラックが走り去って行く。

「ありがとう舞夜、助かったよー!!」

 自分に死が近づいていたことに驚きのあまり、恋歌が泣きながら舞夜にしがみつく。

「もういいよ。それよりも皆、あの占い師、やっぱり怪しい。私が出て行く直前に言ってたんだけど、“私達に数々の試練が訪れる”って」

「さっきも“死んだ場合は課題がクリアできないのも認める”的なこと言ってたしな。怪しいったらないな」

 朱音も賛同して頷く。

 その頭上に、あろうことか巨大な鉄骨が迫っていた!

「な、何ぃ!? ベル・スター!!」 

 泣いていた恋歌は咄嗟にベル・スターの銃弾を発射し、鉄骨の軌道をずらしてみせた。

 朱音のすぐ背後に鉄骨が落ち、歩道の一部分が陥没するほどの音が響いた。

「な、何だ!?」

「夜ノ森の頭に鉄骨が落ちてきてたから、何とか軌道はずらせた」

 よく見れば、後ろは工事現場である。慌てて作業員が四人の元に来て謝罪をした。

「助かったぜ、鬼怒山。もう少し死ぬとこだった」

「急がないといけないけど、身の危険と隣合わせってのがヤバイわね。マリア、今何時か分かる?」

 端末を見たマリアは、今が十九時ちょうどを告げる。

 閉店まで後、一時間。全員が無事にたどり着き、あの館に戻れるのか。

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