story.4『不安』
咲夜はいつも笑顔だった。
あの日から、本当にずっと。
俺は、その時買い物に行っていた…二人はなぜ、俺のいなかったあの時を選んだんだろう。
馬鹿だと思う…咲夜のことも俺のことも考えてなかったんだろうな。
扉を開けると咲夜がベランダの戸にもとれかかって眠っていた。
目は腫れているし頬も濡れていたから俺は泥棒でも入ったのかと慌てて咲夜に駆け寄った。
咲夜の手の中には手紙が握られていた。
//咲夜、ごめんね。またね。[母]咲夜、すまなかった。全て俺が悪かったと思っている。償い切れるものではないが、これで許してくれはしないだろうか。[父]//仙真、ごめんね。またね。[母]仙真、これからなんとか咲夜のことを、見てやってくれ。お前に任せてしまってすまないと思う。でも、俺はこの罪を償わなければならないんだ。[父]//
俺は4人分のカレーの材料が入ったビニール袋を、床に落とし我にかえった。
妹もその音で起き…微笑んだ。
どうして笑えるんだ、ときいてみると、母親に言われたらしい。
「笑顔でいてね。どんな時も、絶対に。」と。
ある日、妹がいじめられていると
妹の友達から聞いた。
両親がおらず、兄と二人で暮らしているのが変だから…ってな理由で。
咲夜に何故言わなかったときくと
「だって、泣いちゃうよーそんなこと言ったら!」
おちゃらけた風にそう言う妹は
今にも泣きそうで、それ以上何も言うことが出来なかった。
あいつはこれからも基本泣かない。
あっちの俺はそんな咲夜にちゃんと
寄り添ってやれるだろうか?
俺は気づくと泣いていた。
「あらあら…。」
「なに泣いてんねんアホっ」
二人が心配(?)してくれている。
確かに俺が泣いててどうする…
咲夜は泣いてないんだぞ、妹に負けてどうする、俺。
「チッ…泣くわけねぇだろぉが!」
泣いたのがバレてることぐらい分かっているが強がらなきゃやってられない。
「そのいきやで、センマー!」
「ふふ、なんだか立ち直られた様ですわね。」
すると急に空気が変わるのを感じ、
下を見ると延々と続いていた闇に
白い筋が現れた。
「あら、もう終わりですの?残念ですわね。」
彼女の言葉から察するにもうすぐゴールなのだろう…ん?今物凄い速度で落下してるよな?ゴールって…。
「…なぁエミリアさんよ、これってどうやって着地すんだ?」
エミリアは不思議そうに首をかしげる、何言ってんだ?って感じだ。いや、俺は初体験なんだよ!!!
「そんなの、頑張って耐えるほかありませんわ。」
「そうかよ、ご愁傷様、俺。」
異世界転移前に転落死とか…
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