story.2『手紙と妹』

「い、いやいや…ちょっと待てよ。」

俺は今たぶん、一生ぶんの混乱を

一度にギュッと濃縮したような混乱レベルだ。

ほらもうこの考えが混乱してるだろ…

なんだよ、一生ぶんの混乱って。

その一生ぶんの混乱の原因は俺の手の中にあるこの謎過ぎる手紙だ。

書かれている内容は簡潔過ぎるほどに

分かりやすく、重要なことしか書かれていない。

しかし、一般人には理解不能な内容だった。


//拝啓 仙真様…貴方様は我がギルド代表のエルミア様とフィシャナ様の推薦により、明日から別の世界の学校にて勇者となるための修行をして頂くことになりました。

早急に今の世界の者との別れを終わらせて頂きたくご連絡致します。…ギルド【dwarf】副代表.シーザ//


なんだよこれ、意味わかんねぇし…

「あ、そそっそうだイタズラなんだよこれは!」

なんっつータチの悪いイタズラだよ、犯人見つけて一発殴ってやらねぇと…。


「…でも本物だったらどうすんだよ…?」

俺には妹がいる。親戚にも疎まれてる俺らには頼れる相手がいねぇ…俺はある程度成績が優秀だったからまだ利用価値があると良くして貰ったが咲夜は全てにおいて平均的だ。

そこが可愛らしくもあるが利用価値があるかと問われれば口を噤まざるを得ない。


「もしも本物だったら…あいつはこれからどうやって生活するんだ?」


「その心配は要らへんでっ」

「そうですわよ、そのくらい想定済みですわ。」


だ れ だ よ お ま え ら 。


目の前に突然現れた二人の女は

大阪弁の方が"エルミア"、お嬢様喋りの奴が"フィシャナ"と名乗った。


エルミアは紺色の髪の女の子で

フィシャナはピンクの髪の女の子…

どちらも中学生ぐらいの背丈だが口調は堂々としていて俺よりも年上なのかと考察。

特にフィシャナはお姉さんって感じがあふれ出ていてなんというか、見下ろしてはいけない気がする。


「あーもぅ…ほんまなんやねん、センマ!さっきからひとっことも喋ってへんやんか!」

「私達が怖いんですの?それとも疑問点が無い、と仰います?」


そんなこと言われたって…

おかしな頭髪の女二人が急に家の中に出現したら誰でもビビるだろ、なぁ。


「…じゃあ質問するけどよ、『その心配は要らぬ』…ってどう言う意味だ?」


「あぁ、それはな…うちの力でセンマの存在を消すことなく、アンタの魂を別の世界に送れるんや!」

あ、世に言うチート野郎ですね、

分かります。


…分かるわけねぇだろぉが!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る