第23話
ゲームセット。
「ただ今の試合五対二をもちまして光栄大学の勝利となりました」
アナウンスが流れ観客席から両チームに拍手が贈られた。整列を済ましてベンチに戻るとようやく勝利をかみしめてみんなと抱き合ったり握手をしたりハイタッチを交わした。
「ほらぐずぐすしないで! はやく撤収するわよ」
りかこの怒号が響きすぐに二試合目の東京国際学院大学がベンチに入ってきた。
「光栄さん勝ったね、おめでとう」
真咲に声をかけたのは、東京国際学院大学のキャプテン虹村博美だ。ユニフォームには東京国際学院大学の頭文字をとった【TIU】のエンブレムが装飾されている。
「ありがとうございます。ちなみに今年は十分に優勝を狙えるレベルですよ。もちろんベストナインも」
「そう、それは楽しみにしてるよ。早乙女さん」
「はい、虹村さん」
二人のにこやかな会話は違和感だらけだった。
なんというか、胸筋を緩ませているだけで目は笑ってない。
「相変わらず喰えない女ですね、虹村は」
すれ違いざまにりかこが真咲につぶやいた。すると真咲は笑って「彼女は国際のブレインだから仕方ないよ。国際が優勝には届かないものの、リーグ二強を揺るがないものにしているのは、彼女の功績が大きいわ」
真咲が虹村の実力を認めているには訳がある。彼女は去年の秋季リーグのキャッチャー部門でベストナインに選出されている。
上位二チームが出場できる秋季リーグ戦では関東大会に出場を果たし、全国大会には行けなかったものの関東の猛者と健闘しチームをベスト8に導いた。
久留美たちはベンチをはけ外に出るとすぐに明日の試合のミーティングを始めた。
予定通り、明日の先発はりかこ。相手の先発は左の加藤だと予想し大まかな作戦をたて解散した。
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