prologue ーside 礼ー
くにに抱き締められるのが好きだ
ぎゅっと強く引き寄せられるとクラクラして何も考えられなくなる。
最近くにの匂いと温度に触れてるだけで、
なんか、変で
自分で立ってらんないくらい
身体に力が入んなくなるような
こんなのおかしいよな
怖くていつも身体を離すけど
そしたらやっぱり触れてたくて、また…
何度もその繰り返し
不安と恐怖の他に、確かにどっか…期待みたいなもんもある、
だけど、決まって恥ずかしさが勝ってどうしようもなくなる。
二年になって同じ寮部屋になってから一番くらい、昨日の晩は特に俺がおかしくて
離れたくないし、けど離れないと怖いしで、もうワケわかんなくてただくにひこの腹んとこに手を回して、じっとその体温を感じてた。
鼓動が聞こえた。
くにひこのからだはいつも熱い。
髪の毛撫でられて
それが気持ち良くて見上げたら、俺がそうするの待ってたようにくにの顔が近づいた。
そのままキスして
とまんなくて
俺はもっとワケわかんなくなった
呼吸苦しくて、クラクラして、
悲しくもないのに涙が出るような感覚になって
くにが耳元で俺の事呼んだ瞬間
俺は完全に身体から力が抜けてしまった。
俺
腰 くだ けた…
くにの息と、俺の息が身体に響いて
それから心臓が壊れそうなぐらい拍動してた。
正直もうぜんぶ覚悟した。
怖いけど、身体がゆうこときかないし
もう
どんな形でもいい
くにと一緒にもっと、よくなりたかった。
…けど
…つうか、
くにのが
怖すぎるだろ…あんなの、
いつあんな…
で…で…
でか…く
『れ、…な、力…抜いて…』
あ、
…あ!?
……無………理!!!
『…いでッ』
!!!
う…うそだろ俺
違う
違う違う
俺の全力の右ストレートが、おもいっきりくにの頬にキマッて
口端が切れてくにの口元に血が滲んだ。
『ごめん』
くには素早く親指でその血をぬぐって確かめると、俺の方を向いて首をふった。
『むりらった?』
俺は動揺したまま、ただ頷くことしかできなかった。
恥ずかしさと混乱とで涙がこぼれた。
そんな俺の額をくにが撫でた。
じんわりあったかい手のひらで、余計涙が溢れてとまらなくなった。
『す、すきなの、に俺』
『………うん』
これまでも何度かそんな事があったんだけど。
昨晩も
背中あわせで座って、お互い自分で処理した。
声どんだけ堪えても、息も振動も背中で伝わるから
背中熱くて
切なかった。
こんなの
いいわけないってわかってても
くにの事、好きな気持ちが日に日に大きくなってとまんなくなる。
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