sugar.
黒須カナエ
prologue ーside 国彦ー
「くに」
れえが俺を呼ぶ声で目が覚めた。
あれ…
俺寝てたのか
「さっきは…ごめん」
暗闇の中で、れえのベッドの方から、そっと控えめな声が聞こえる。
俺は
ばか、気にすんな
と答えた。
つうか
謝んのはむしろ俺の方だ
この春二年に上がった俺たちは、どの件からの優遇か、同じ寮部屋にしてもらい、お互いの部屋を行き来しなくても一緒にいられるようになった。
相変わらずそうゆう雰囲気になると、慣れない空気にれえはどこか居心地悪そうな、ひどく困った顔になる。
でも俺が全然余裕なくて
ここ数日は無理に抱き寄せたり、口を合わせたりしすぎた。
それでも、昨晩のれえは反応がいつもより良く感じられて
もとより抱き締められんのは好きなのか、最近はれえの方から猫みたいに頬を擦りよせてきたり、安心したような吐息を漏らすことが多くなった。
それがあんまり可愛くて
つい、突っ走ってしまった。
れえもきっとすげーがんばったんだよな
でも、俺がれえの事
どんな風に感じたいのか
どうやって繋がりたいと思ってるのか
そんな、エグい現実突きつけられて
感情処理できなかったか
インサートの感慨にふける間もなく
がつーんとおもいっきり右ストレート食らった。
まぁ
当然の防衛本能。
俺がれえでもそうする
なのに、れえは泣いて謝った。
全然痛みなんか感じてない俺の事を
心配してまた泣いた。
それから
『す…すき、なのに…』
…って俺の腕を震える手でぎゅっと握った。
ああ……殺しにかかってる
思い出しただけでちょっとやばい俺は、れえに背を向けるように寝返りをうった。
少しして、
うつらうつらしていた俺の肩をぎゅっと押さえられて、仰向けになったところに、腰にじっとした重みが重なった。
目をあけると、暗闇にうつ向いて俺の腹に股がったれえの前髪が目線の上でさらさら揺れている。
な
んで?
どした?れえ
「……ほんとは、欲しいんだ」
え
「俺を、くにの、に、してほしい」
ちょ、、
自分のパジャマを焦ってるみたいに剥いだれえの身体に
まさかの
ハーネス…?!
なんで?
こんなん、誰に仕込まれた
川瀬?
松阪先輩?
「俺だってできる、から。他の人見ないで」
何言ってんの、れえ
「くにひこは、俺の。…だよね?」
そう言った瞳にはもう涙が溢れてる。
ああ、こんなん
我慢できるわけな────
そこで
目が覚めた。
一体どこから夢だ…
まぁ、どっちにしろ“素肌にハーネス”は完全に夢だ。
すでに部屋には朝日が差し込んでいて、向かいのベッドに眠るれえの顔がよく見える。
その無邪気な寝顔を目におさめてから、
俺はトイレに向かった。
あーあ、
れえが俺の上に乗っかって、誘惑…か、
すうげえいい夢…
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