最初から最後まで一気に読みました。
簡単に人が命を捨てる世界。国が行うそれなりの援助。残された者による、形だけの家族構成。
『死』を極めて淡々と扱う文章は、異常を正常と錯覚させるような、遅効性の毒のようです。
歪で異質な作品だけれど、どこかフィクションだと割り切れない真実がちりばめられている気がしました。
今、私たちが生きている世界とどう違うのか、作品は私たちの世界の一部を切り取ったノンフィクションでは……そう考えてしまいます。
虚構と捉えるか、現実を重ねるか。
不思議な読後感を味わえる作品です。