第11話 霊の世界(その2)
こちらでいう魂の成長をイメージするのは難しい。
どうしてかって、こちらでの魂の成長は、スケールも大きくて、地上で人間が生きている50年とか100年とかいうスパンじゃなくて、何千年とか、何万年といった話なんだ。
例えば、千年前と比べてみれば、人間は、知識だけでなく、魂的にも確実に成長していると思うよ。
ちなみに、魂が地上で修行をしているときも、こちらの魂ともつながっているんだ。
なんていうのかな、無線で繋がっているイメージかな。
魂の無線は、いろんな都合や事情で、通信がよかったり、悪かったり、それぞれなんだけど、通信が悪い魂は、結構地上でも苦労しているようだ。
ただ、その苦労は無駄じゃない。
こちらの世界に戻ってきたときに、その経験や苦労は、確実に魂全体の成長に寄与しているんだ。
ちなみに、地上であんまり苦労しすぎると、魂が早くこっちに戻って来ようとすることもある。
それだと、修行にならないから、地上では楽しむことが大事。
地上で楽しまないと修行にならないんだ。
それから、地上でものすごい苦行をして、二度と地上に降りない魂になったりもする。そんな魂を、人間の言葉で「解脱した」っていうこともあるらしいね。
ところで、人が亡くなって、こっちの世界に戻って来たとき、魂は、大きな魂に帰っていくんだけど、例えば、いきなり死んだりすると、しばらく地上の記憶や意識や感覚が残って、大きな魂に帰っていくまでにちょっと時間がかかったりすることもあるんだ。
突然死んだ俺は、今、そんな感じだね。
地上では、それを「浮遊霊」みたいにいう人もいるけど、そんなおどろおどろしいもんじゃなくて、単に大きな魂に戻るまでにちょっと時間かかかっているっていうだけなんだけどね。
それから、一旦、大きな魂に戻った後、また、すぐに地上に降りる魂もある。
一方、100年も200年もこちらにいる魂もある。
魂がすぐに生まれ変わる場合は、地上で知り合いだった人のそばに生まれ変わって、また、その人に出会うこともあるんだ。
お互い、そのことには気がつかないけどね。
自分の場合はどうかな。それほど、地上に未練もないと思うし、やり残したこともないように思う。
しばらくこっちの世界にいてもいいと思っている。
地上の記憶が完全に消えないうちに、最後に、かあちゃんに会いに行こうと思った。
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