12.29「alice in rainyland」#18




夕食に出かけた食堂で、チェシャが自分のナ

イフで魚をさばいている。食堂の人が、魚の

切り身に緑色の果実の汁をたらす。大きな人

たちと分け合って食べた。昨日泣いていた人

がいた。今日は笑っている。小さい人がくる

のは久し振りだと言う。そうだ、トムはこな

かった?ᆣその人は悲しそうに首を振った。





目覚めると部屋の中は雨風の音で満ちていた

。靄が晴れている。沼地に浮かぶ花たちの周

りに、波紋がいくつも描かれて消える。もう

近くに島はない、と宿屋は言った。風の果て

に、この国の果てがある。この船で行くとい

い。交替で眠ることも、遠くへ行くこともで

きるだろう。それは本当に立派な船だった。




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