おまけ ロングソードとウォーハンマーを戦わせてみよう

 ではこれから、彼らに殺し合いをしてもらいます。




決闘その2―――――


 戦いの前に鎧を着てウォーハンマーを持っている悪人


悪人「またかよ!」


主人公「落ち着け、今回の相手は俺じゃない」


 そこへ鎧を着たロングソード持ったヒロインが現れた


ヒロイン「さあ覚悟しなさい!悪党!」


悪人「ちょっと待て!! 前々回にアイツに刺されたんだぞ俺は!」


主人公「悪人の腕力も前々回より上がってるらしいから平気さ。じゃあ頑張って」


悪人「おい待てこら! 検証するだけならお前が戦・・・」


立会人「それでは試合開始です」


 非情な戦いの火ぶたが切って落とされた


ヒロイン「死ねえぇぇぇえぇええ!」


悪人「いきなり突いてきやがった!?」


「ガキン」


 悪人がどうにかヒロインの突きを払って躱した


ヒロイン「ちっ! 同じ手は通じないか…」


悪人「そう何度も殺されてたまるか! 返り討ちにしてやる!!」


 悪人は近づいてハンマーで殴ろうとするが・・・・


「カンカンカン!」


 ヒロインの剣の広い間合いからの攻撃で上手く近づけないでいた


悪人「こいつ、武器を握った手ばかりを狙いやがってッ」


ヒロイン「相手の一番自分に近い場所を狙うのは武器術の基本でしょ、前に出した手とかね。手もしっかり防具で保護さててるけど剣の衝撃に耐えられるかしら?」


悪人「この野郎!まずテメェの手からオシャカになりやがれ!」


 悪人はハンマーを振り回し剣を攻撃し始めた


ヒロイン「え、ちょっと待っ!?」


悪人「相手の一番自分に近い場所を狙うのは武器術の基本なんだろ? つまり前に突き出した剣も標的ってこった!」


 悪人は剣を弾いた隙にヒロインの剣を握った手を狙らって振り下ろす


「ガッ!」


悪人「な!?」


 しかしヒロインは棒鍔を横に広げる様に持ち方を変えて、ハンマーの攻撃を防ぐ


ヒロイン「引っかかった♪」


 ヒロインはそのまま棒鍔でハンマーの先端を引っかける様にして引っ張りながらハーフソードに持ち替えて切先を悪人に向けようとした


悪人(しまった!前へ身を乗り出し過ぎた!このままじゃまた目をやられる!? 武器は絡めとられそうだしどうすりゃあ・・・)


 悪人は脳をフル回転させ考え、出した結論は・・・・


悪人(切先が来る前にもっと踏み込んで前へ出る! 剣の刃が当たってもどうせ切れはしねぇえ!)


ヒロイン「ッ!?」


 悪人は前へ飛び込むように走った!棒鍔に引っかけられたハンマーも自由になり、ヒロインの背後まで駆け抜けて振り向きざまにハンマーで殴ろうとする


悪人「せえい!」


 しかしこの悪人行動にヒロインは直ぐに対応し、両手で刀身を持って剣の柄頭を悪人の頭へと振り下ろした


ヒロイン「りゃあぁ!」


「ゴオン!」


 ヒロインの攻撃が先に当たったが、悪人の横薙ぎに振るったハンマーの勢いは止まらず・・・


「ガキャン!」


ヒロイン「きゃあ!」


 ヒロインの顔を守るバイザーをはぎ取った!


悪人「しめた!前回の俺と同じ・・・くっ!」


 悪人は直ぐにヒロインの顔面にハンマーを突き入れようと思ったが、思う様に動けず膝を着く


悪人「さっきのダメージが残って・・・ッ!」


 まずいと思った悪人はとっさにハンマーを近くに寄せ、来るであろうヒロインの攻撃を防御しようと身構えたが


ヒロイン「くう!!」


 ヒロインは悪人から離れて間合いを取った


悪人(あいつもダメージを負ってたようだな。ヒロインの野郎…剣の間合いは自分の方が有利だと判断して距離を取ったか)


ヒロイン(危なかった、もう少し反応が遅れてたら直撃してたわ。それにあの悪人の膝を着いた低姿勢…あの体勢からウォーハンマーのピックで私の足を引っかけて倒す気だったのかしら?・・・いえ、ハンマーでひと思いに膝を砕かれるか。油断なんないわね)


ヒロイン「ふう・・・」


 ヒロインは両手を柄に握り直し、剣を構えて集中した。はじめに見せた剣道の様に腕を前に出した構えではなく、脇を締め刀身を右肩に軽く乗せたような構えに


悪人「もう剣を攻撃させないってか・・・へっ!」


 悪人は立ち上がってハンマーを突き出す様に片手で構えた。ヒロインにハンマーを攻撃させようと誘う様に


ヒロイン「誘っているつもり?」


悪人「俺の誘いは嫌かい?」


ヒロイン「当然!」


悪人「だよな!」


 悪人はちからを抜いてハンマーを下ろしながら踏み込み


「ブン!」


 ハンマーが落下するエネルギーを生かしたまま、身体の横で回す様に後ろに振り上げ、勢いの乗ったハンマーをヒロインに向かって振り下ろした!


「バン!」


 その一撃をヒロインは剣で打ち払いながら横に飛び、ハーフソードに構えて悪人に飛びつこうとした


ヒロイン(振り回す余力を与えない超接近戦なら打撃武器なんて怖くないわ! 切先を相手に当てて力を込めるだけで刺せるこちらの方が有利!組み伏せてやる!)


「パシンッ」


 しかし悪人は弾かれたハンマーの頭の下をもう片方の手で掴んだ、まるでハーフソードの様に


悪人「マネさせてもらうぜ!!」


 そして悪人はウォーハンマーの柄の先で、バイザーが飛んで無防備になったヒロインの顔面を突こうとした!


ヒロイン(前へ出ようとした余力で躱せない!? でも!)


「ブウン!」


 ヒロインはしゃがんで悪人の攻撃を紙一重で躱した


悪人「なんだと!?」


ヒロイン「えい!」


 そしてヒロインはロングソードの切先を悪人の膝の裏に引っかけ転ばせる


悪人「うわ!?」


「ドサッ…」 


ヒロイン「もらったぁー!!!」


 倒れた悪人の股座に剣を突き刺した。股座は鎧を着てても防御が薄く狙われやすい場所である


悪人「うほぅ!!??」


ヒロイン「女に刺されるのはお嫌い?」


悪人「くそう、やっぱこういう落ちかよ・・・!」


 悪人は力を振り絞ってハンマーで攻撃しようとしたが、武器をヒロインに片手で掴まれてしまった。


悪人「うっ!うぐ!」


 どうにかヒロインの手を振りほどこうとしたが


ヒロイン「逝きなさい!」


「ブシュ」


 力を込めた剣が深々と刺さり、悪人は倒された


―――――とまあ、私がロングソードとウォーハンマーをガチで戦わせたらこんな表現になっちゃいます。楽しめましたでしょうか?





 ロングソードを持ったヒロインを勝たせましたが、これはロングソードが特別優れているからと言う訳ではありませんので誤解しないでください。ウォーハンマーだって優れた武器です、一発でもまともに当てられたら形勢が逆転し悪人が勝つのも十分あり得ました。その辺りが上手く伝わっていればいいのですが・・・


 そしてロングソードの戦闘での柔軟性が強みである事が分かってもらえましたでしょうか? 剣を持ったヒロインは初め悪人の攻撃範囲の外から攻撃しつつ挑発して対応し、悪人が挑発に乗って飛び込んできたらハーフソードに切り替えて相手が思う様に攻撃力を発揮できない懐に飛び込もうとしました。


 打撃武器であるウォーハンマーは鎧相手でも通じる十分な攻撃力を発揮する為にはある程度大振りにならざる負えません。その為隙も大きく組み疲れてしまうと思う様に振り回せず効果を発揮できないでしょう。今回のウォーハンマーはピックが付いてるのでピックを鎧の隙間にねじ込んで刺すなんて事も出来ますが(ピックとは別に先に槍の様に突き刺せるように先端にスパイクが付いたものもあります)


 何かに特化した武器はそれだけ用途が狭まり、対応できない部分が多くなります。鈍器だと刃物と違って掴まれやすいですし。しかし自分の得意分野に持ち込めたら有利に戦えます。


 しかし万能すぎると器用貧乏と言う言葉がある通り、どれも決め手にかけてしまいます。相手の不得意な部分を見極めて行動し、例えその戦法が他の武器に様に最大の効果を発揮しなくてもどうにかこなして相手より有利に戦うしかありません。



アナタはだったらどうやって武器を選び、戦わせますか?




              ・

              ・

              ・




ヒロイン「ふぅ・・・勝った♪ よっと!」


「スポン!」


 ヒロインは悪人から剣を抜き取り兜を脱ぎ捨て、立ち上がって主人公から受け取ったタオルで汗を拭いた


主人公「お疲れー」


立会人「お疲れ様です。悪人さーん!もう生き返って良いですよー!」


悪人「そうか?よいしょっと・・・」


 悪人はムクリと起き上がって肩を回す


主人公「お疲れさん悪人。今回は頑張ったな」


 悪人は兜を脱いで主人公から受け取ったタオルで汗を拭いた


悪人「ああ、もうこんな活躍はこの先ないかも知れねえな・・・・」


立会人「この後みんなで飲みに行きましょうか」


ヒロイン「さんせーい♪」


主人公「お、良いね」


悪人「いつものとこか?肉食いたい」


立会人「じゃあ、席空いてるか電話で確認しますね。・・・・すみません、2時間後に予約したいのですが席は空いてますでしょうか?」


 立会人が電話をしてる横で主人公達が世間話を始めた


主人公「あの人この前は軍人やらされてたけど、この先はどんな役やらされるんだろうな?」


ヒロイン「さあ? 今回でお役御免だったりして」


悪人「不吉な事言うな。しかしお役御免って事なら俺も危ないよな・・・」


主人公「なんで?やられ役は必要だろ。辛くなって辞めたいとか?」


悪人「そうじゃねぇよ・・・・悪人としての立場が危ういだろ」


ヒロイン「はい?」


悪人「だって、悪人の俺よりヒロインの方が凶悪だって評価が出ちまってるし。俺はお役御免でヒロインが悪役を継ぐことも十分あり得・・・」


ヒロイン「あぁん!?」


「グサァ!」


主人公「ああ・・・やっちまった」


立会人「はい、人数ですか。人数は4・・・・すみません3人です。後で1人合流するかもしれませんが」

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