ロングソードなら簡単・・・じゃない!?(その1)

 どうせ私の創作論なんてあまり見てくれないと思って油断し更新してませんでしたが、PVも増えレビューもつき「ヤバイ!」と思い急遽書きました。まあ、どうしてかと言うと。


 前回のレイピアの話を見て「レイピアはややこしいから無難に剣にしよう」なんて思ってしまいロングソードを創作で使おうと考えてしまった人は居ませんでしょうか? それが凄く気がかりなので今回急いで書きました。


 そう言った方が居たら私から一言・・・「気にしないでください!」


 ロングソードだって一般常識と照らし合わせたら現実のものとはかけ離れた認識をもたれてる武器です! 現実はどうとか気にしたら負けです。作品として面白くできてればそれで良いんです。と言うか、私は資料集めてる中に心が折れました。それでもリアリティを追求したい人は私以上に頑張る必要がありますので覚悟してください。




 と言う事で今回のお題はロングソードです。これもファンタジーの定番武器ですよね。


 前回に引き続き武器がお題なので「アンタが書いてる”ここは武器屋ですか?”でやれよ」と思われるかもしれませんが・・・。創作論と言うより武器解説に偏った物になってしまいますがご了承ください。ロングソードの特性を理解しやすくする為、日本刀の話も交えつつ話していこうと思います。



 このロングソードは少し武器の知識のある方は「西洋の剣は殴るもの!分厚くて丈夫な鉄の塊!衝撃で鎧を着た相手をノックダウンさせる武器なのだ!」なんて言われてたりします、大体の人がそんな認識です。日本だけでなく西洋でもそんな認識だとか。


 しかしここで前回のレイピアの説明でだしたロングソードのスペックをよく読んでいた方は疑問に思ったのではないでしょうか?




 特に日本刀の知識がある方は「ロングソードの重さが1.3キロから1.5キロ? 刀身が90cmって日本刀で言えば野太刀クラスの長さじゃないか。軽すぎないか??」

なんて思ったのでは?




 そう、あの大きさのわりに軽いんです。レイピアとは逆ですね。軽さの秘密は刀身が薄いからです。




 ある海外の番組の企画で日本刀と比べる為に持ち出されたのが刀身が1メートルから1.3メートルの重さ2キロのロングソードでしたが、あれは両手剣に属する重いタイプです。日本刀で言えば野太刀のような剣です(日本刀の方も刀身が91cmと野太刀クラスの物が使われましたが、重量の説明がありませんでした。なんで?)




 ではなぜロングソードが薄いかと言うと「良く切れる丈夫な刃物を作るにはどうするか・・・」と考えた時に日本とは別の設計思想で作られたからです。





 良く切れて丈夫な刃物を作るにはいくつか問題があります。


①良く切れる刃を付けるには鋼材が硬くしなければならないが、硬いと衝撃に脆く割れやすい


②刃を鋭くするには刃を鋭角に研いだ方が良いが、鋭角にし過ぎると斬り付けた時の衝撃で刃こぼれしてしまう


③丈夫にするには刀身が分厚い方が良いが、斬り付けた時に厚みが邪魔で対象に深く食い込まない恐れがある。また刀身があまりにも厚いと鈍角な刃しかつけられず切れ味が悪い。刀身は薄く幅が広い方が抵抗が少なく良く切れるが強度が無い。


 これらの事から丁度いいバランスを見極めて作らねばなりません




 まず日本の場合。


 ①の問題は鋼を何度も叩いて鍛える事で硬く鋭い刃を付けられる鋼材にする。衝撃対策は刃に使う鋼の後ろに柔らかい鋼材を使い、受けた衝撃を吸収するようにし強度を確保する(鎌や鉈など)


 日本刀の場合は固い鋼材で柔らかい鋼材を包み、柔らかい鋼材を衝撃を吸収するクッションの役目の心金にし(古刀の場合は違うみたいですが)さらに焼き入れの際には表面に土を塗る。土を刃の部分は薄く、後ろは厚く塗る事により焼き入れした時に熱の伝わり方が変わり、土を薄く塗った空隙に冷却され焼きの入る刃の部分は硬くなり,焼きの不十分な厚く塗った方では方では靭性に富む鋼となる(副産物として刃紋が浮かび上がる)


 と、二種類の鋼材を使ったり、焼き入れを工夫して硬い部分と柔らかい部分をつくって対応しました。




 一方西洋は(この場合おもにロングソード事ですが)


 ①の問題からあまり硬くは出来ない。よって③の問題を考慮し刀身を薄く作り、斬り付けた時の抵抗を少なくして切れ味を上げる事にしよう。刃は②の問題がある為あまり鋭角に研ぎ過ぎないようにする。


 ③をよく読め、刀身を薄くしたら強度が下がるだって? そこは発想のを転換させよう ”衝撃を受けて曲がってもバネの様に元に戻る靭性を持ってれば折れることは無い” どうだ? これで強度面の問題は解決だ。



 「ええー!?」っと思われるかもしれませんかそうなってます。



 よくカートゥーンアニメのキャラがレイピアをグニグニと手の力で曲げてバネの様に元に戻りますがロングソードも手の力で曲げられます。分厚い鈍器ではありませんからしっかり切れますしロングソードを使っても巻き藁を一刀両断できます。


 日本刀もしなるように出来てますが、ロングソードなどの剣と比べてしまえば日本刀はしなりは劣ります。


 薄い刀身のお陰で兜のバイザーに空いた覗き穴などの隙間に突き刺す事も出来き、鋭い先端はチェーンメイルの隙間に入りこじ開ける事が出来る、非情に合理的な作りになってます。

 



 続きは次回。焦って書いたので雑な内容になってるかもしれませんがご了承ください。

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