第24話:プレイヤーデビュー
受付カウンターのあるフロアから、行きに使ったのとは別のエレベーターを使い喫茶店風のプレイルームへと移動する。
ちなみに受付カウンターのあるフロアはプレイヤーしか入れず、もちろんエレベーターもプレイヤー及び従業員専用らしい。
喫茶スペースへ到着すると、何組かの男女が向い合せで座り、お茶を楽しんでいる。プレイが進行しているのか、涙目で演技臭いセリフを発している
俺の顔を見ると、「あ……」とか言ってるし。おい、プレイヤーが可哀そうだから集中してやってくれ。
「お客様、お待たせ致しました。ご指名頂きましたプレイヤーをお連れ致しました」
あ、いきなりストーリーが展開するパターンじゃないのね。では自己紹介から始めるべきなのかな?連れて来てくれた受付嬢をチラリと見ると、軽く頷いているのでそうなのだろう。ではでは。
「ご指名頂きました
深く礼をする。うん?反応がない、何かマズったか?必要以上にバカ丁寧な挨拶だった?それともこの一見ラフそうに見える服装?紗雪が用意してくれたこの服、すごく物がいいんだけれど、ぱっと見たらファストファッションとの違いが分からない。ただ、肌触りはすごくいい。シンプルイズベストとはよく言ったもんだな。
「……、ハッ!私とした事が……、ゴメンなさいね?お掛け下さい」
やっと着席許可が出た。立ったままプレイが始まったらどうしようかと考えてしまったわ。
改めてお相手のアクトレスを見る。肩まで伸ばしたストレートヘア、何故かしっとりと濡れている。家を出る前にドライヤーしなかったのか?プレイに関係あるんだろうか。
それにしてもこのお客様、一言で表すならば合法ロリである。少し舌足らずな話し方といい、この見た目といい、性欲ではなく保護欲を掻き立てるタイプの女性だ。実年齢が想像出来ん。
受付嬢が一礼して戻って行った。あ、はい。
「紗丹君はこれが初めてなのよね?知っているか分からないけど、私はプレイヤーちゃんねるって言う、プレイヤーの情報をまとめたりしているサイトの管理人なの。今日は生のあなたに取材という事で、特にこれと言ったプレイは望んでいないわ。意気込んで来たのなら、肩透かしでごめんね?」
あんなにガヤガヤしていた店内が、シーンとしている。どれだけの人数で聞き耳立ててんだよ。
「いえ、僕も雰囲気を味わうと言う意味ではありがたいです。事前情報なしでこの場に来てしまったもので」
「どうやらネットに流れた情報は本当だったようね?昨日知り合いの女性の告白を断った所に、たまたまこの店のオーナーがいた。これはすごい偶然よ?」
偶然よ?なんて言われても、偶然以外の何物でもないんですよ。
「ええ、そうらしいですね。
店のあちこちからバタバタガタンという音がする。もう少し動揺を隠してほしい。こっちもこっちで気ぃ遣うわ。
「それが本当ならスゴイ事ね。あ、ゴメンなさい、注文まだだったわね。何を飲む?」
メニューを開いて見せてくれる。ちなみにここの支払いはプレイヤーの売り上げになるそうで、もちろんアクトレスの負担となる。値段が載っていない、喫茶店だと考えれば不親切もいいところだ。
「すみません、何とお呼びすればいいですか?」
「あら、私ったら自己紹介もせず………、
「では千里さん、千里さんは何がお好きですか?」
「そうねぇ、この中だったらロイヤルミルクティーかしら。ここのミルクティーはおいしいのよ」
口調はお姉様風だが、いかんせん外見と話し声が邪魔して背伸びした小学生としか思えない。
「ではロイヤルミルクティーを2つ頼みましょう」
オーダーすべく手を挙げると、すぐに眼鏡を掛けたウエイトレスさんが来てくれた。何故いる
「ロイヤルミルクティーをお2つですね、畏まりました。失礼致します」
失礼し過ぎだわ、もう少しで顔に出るところだった。
「紗雪ちゃんもあなたが心配みたいね?」
バレてるし。
「そう、そんな事ってあるのね~」
この場に至る昨日からの話を、いろいろと
「じゃぁせっかくだから、何か
ほう、昨日の再現をしようと。なかなか面白い提案が来たので、練習がてらお受けする事にした。でもそのままの再現では面白くないだろうしなぁ、細かい状況や会話までネットにアップされているらしいし。プレイヤーにプライバシーはないらしい。
「延長します!」
「延長お願いします!!」
「すみません、延長をお願いしたいのですが…」
「延長よ!!」
お前ら自重しろ。
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