第6話:スカウトのお話、お断りします!
「何でこの流れで胸を揉ませる事になるんですか?」
ってこれ何気にマズい状況だよな?
いきなり扉が開いて怖いお兄さん達が出てくるパターンじゃないよな!?
トントントン、とノックの音がする。
ほらマズいじゃんどうすんの俺!?
「失礼致します」
扉を開けて入って来たのは、俺が予想した怖いお兄さんではなく、どっからどう見てもメイドの見本ですと言うような美少女だった。
頭には白いブリム、紺色のメイド服に白いエプロン、膝下まで伸びたスカート丈のせいか、より形の良いお尻が自己主張している。
胸はまぁ、大きくもなく小さくもなくなのではないでしょうか、多分。
「
「ありがとう、
瑠璃さんに書類とやらを手渡し、一礼して部屋から出て行く。
まさかのノーリアクション、お澄まし顔。
「あら、こんな美人なお姉さんの胸を揉みしだいているというのに、美少女メイドに
いやいやいや、揉みしだいてないし!
自分でさせているクセに何で頬がほんのり赤いんだよ!
「瑠璃さんが無理やり触らせてるんでしょうが!」
「あら?無理やりですって?」
うっわいつの間にか俺の手を掴んでた両手が離されてるよ!いつの間だよ畜生!!
慌てて手を放す。
「んんっ、もっと触っていても良かったのに」
勘弁して下さい、女性の胸を触るなんて初めてで動揺が隠せない…。
色っぽい声出さないでほしい。
「さて
よろしいかよろしくないかと聞かれたら、よろしくないわ!
変態美人ズにおもちゃにされて、自分の身の上話をしたらもっと強烈な過去の話を聞かされて、気付いたら胸を揉まされてて、美少女メイドが現れてでめちゃくちゃ混乱してる最中だわ!
「ちょっと一度に色々な事があり過ぎて混乱しています。スカウトに応じるかどうかは別にして、日を改めてもらえないですか?」
「う~ん、ちょっとそれは困るわね。次に会うまでにあなたが別の店にスカウトされたら大変だもの」
さすがにそれは心配し過ぎではないだろうか。
自ら面接を受けに行くならともかく、俺をスカウトしようとする人が現れるとはとても思えない。
そもそも友達の彼女からの告白を断るタイミングで、変態美人ズのような特殊な職業の人が近くにいる確率はすごく低いはずだ。
したがって、俺が別の店から声を掛けられるなんて事はまず考えられないだろう。
「どうしようかしらね~、
「そうですね、優希さんの明日のご予定を伺ってもよろしいでしょうか?」
「はぁ、明日はバイトのシフトが入ってないので一日暇にしていますが……」
まただ、何で素直に答えるんだよ俺。
適当に用事があるって言えばいいのに、何で本当の事を言ってるんだろうか。
確かにこの2人は変態ではあるけど美人だし?あのメイドさんもすごい可愛かったけど?何に対してスカウトされているのかもよく分かってないし、すごく稼げる仕事って何かヤバそうじゃん。
裏がありそうで怖いんだよな…。
「ではこちらでホテルを予約させて頂きますので、そちらにお泊り下さい。送り迎えと身の回りのお世話は紗雪ちゃんにしてもらいましょう。それであれば他店からの接触はまずないでしょうし」
「そうね、それで改めて明日スカウトの話をしましょう。一度寝たら落ち着いて話も出来るでしょうしね」
「ちょっと待って下さい、明日になったからって冷静に話なんて出来そうにないですよ。そもそも何のスカウトなのかも聞いてないし、その仕事が僕に出来る内容の仕事なのかどうか想像もつきません。ホテルに缶詰めにされて?メイドさんに身の回りのお世話してもらって?そんなの居心地悪いだけで、全然冷静になれそうにないんですが!とにかく、明日であろうと明後日であろうと、この話はお断りさせて頂きます!!」
はぁ、やっと言えた。
状況を楽しもうと付いて来たはいいが、楽しむどころか翻弄され続けて精神的に疲れたよ。
ちょっと判断を間違えたみたいだな、そもそも今日はカフェで1人ケーキを楽しむつもりだったのに、友達の彼女といい、変態美人ズといい、降って沸いたような事が多過ぎた。早く家に帰ってゆっくりしたい。
言いたい事が言えたので、さぁ立ち上がろうかと膝に手を付くと、またもや瑠璃さんと牡丹さんに両サイドから腕を取られてしまった。
「いいお断りを見せてもらったわ!」
「ええ、とてもいいお断りでした!」
断られたのに喜んでるぅ~!?
精神的なM属性の人達には何でもご褒美なんでしょうか?
「そうね、何故あなたをスカウトしようと思ったのかだけでも伝えるべきだったわね。実は私、お断り屋のオーナーなのよ!」
何ですか?お断り屋って。初めて聞きました。
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