【資料】ヨルの談話(7)『三大陸と、十三国統治』

 あけましておめでとう、諸君。

 “砂漠の緑柱石”ハイ=ジェスのバザールより、ヨジュアランド筆頭宮廷魔術士ヨルである。

 木っ端小説を読みに、よく来てくれた。

 だが生憎、本日の更新はお休みである。


 ……………………うん? 今更だな。


 十二月以降、むしろ休みでない日の方が珍しいような状況であったな。

 このようなマイナーアングラ小説に目を通してくれる心優しい読者の皆には申し訳無かった。作者に代わって謝罪させてもらいたい。

 最早私の出番すら浮いてしまうような状況となってしまっていたが、今回、長々と休んでいたことについては作者も言い分があったようで、身振り手振り、必死の形相で、何事か訴えかけておるな。少し聞いてみよう。


『……いや、だからぁー、セイラがァ、モテんのはわかるんけどぉ、ミライがモテるんわァ、なんかァ、オタサーの姫みたいでェ、すげぇェ、微妙な気持ちになるっつーかァ、スレッガーはなんでカムランをォ……』


 だまれ。

 永久にだまれ。

 あと顔が気持ち悪い。顔ごとだまれ。


 というわけで、例によって更新お休み日の、穴埋めお茶濁し資料紹介シリーズである。

 今回の内容も、小説本編を読み解くのに必要なものではないぞ。

 全く読まなくとも、本編の面白さに差し障りが出ることはないので、安心して欲しい。


 さて、今回は、これまでの数回と趣向を変えて、「魔法」でも「歴史」でもなく「地理」について話そう。

 もう少し本編中で、アゼルガ世界について解説されるかと思っていたが、予想以上におざなりであったのでな。私が出張でばることとなった。

 なに。「魔法」についての資料も今後追加で披露することになるだろう。不明点が多数解説されていないのに、別の資料に移るのかと、焦る必要はないぞ。


 というわけで、地理である。

 が、未だ、基礎的な話すらもされていないのが現状であるな。

 となれば、まず地理資料の初回たる今回は、基本中の基本となる『三大陸』と、『十三国統治』について触れることにしよう。


 最初に、例によって、謎の文字列を呼び出すことにする。


 https://i.imgur.com/5k93eRX.jpg


 これが本作の舞台、アゼルガである。

 三つの大陸と、無数の島々で構成された世界であるぞ。


 大陸は、北東にあるものが「オェドゥ」、

 南東にあるものが「ノーク」、

 南西にあるものが「リアッカ」という名になっておる。


 では更に謎の文字列。


 https://i.imgur.com/Ussox2Y.jpg


 これが一般に『十三国統治』と呼ばれる国境線である。

 国を数えれば、全部で十三の国になるのが分かるであろう?


 中には、イヴァ帝国、オリシュタイン騎士大公国など、作中、名前の出たこともある国々の姿も見られるな。

 ちなみに、現在、本編の舞台となっているアルタ群島は、オェドゥ大陸とノーク大陸の間、クス=アヴァーン共和国内に位置しておる。設定上では、地図に記されない特異な地域なので、あくまで便宜上の措置だがな。


 さて、この『十三国統治』というのは、多くの人間達からは最もポピュラーな国境線として使われているものである。

 が、


 ……む? 意味がよくわからないかの。

 ふむ。もう少しかいつまんで言うと、「人間達が、領土を主張している国境線」となるかの。

 「特定の人間目線から見た、アゼルガ分割地図」、が十三国統治、ということだの。


 つまり、こういうことである。

 地球において、支配的な種族は人間種、ホモサピエンスしかおらぬが、ファンタジー世界においては人間はあくまで一種族。

 彼らより強い者達も、聡明な者達も、世界には多数存在している、という事実がある。


 例えば、地図の北方、世界最大領土を誇る「イヴァ帝国」という名の国があるな。

 が、これは実際には「ミルウィーア」と呼ばれるエルフ達の国や、彼らに近い地域を支配しているドルイド達の集団、あるいは、「ノースランド」と呼称される不死王アンデッドロードの領土など、イヴァ帝国の政府組織が手を出せないでいる土地が多数内部に存在しているのである。(というより、イヴァ帝国において人間達の手にしている土地は実質、全体の三分の一ほどでしかない)


 あるいは地図の南東、「ノヴラ諸島連合王国」という名の国。

 こちらは国境線では一つの国だが、実際には六つの国の集合体として成り立っている土地である。

 更に、その六分の一の国の中には、社会から切り離された先住民族が支配する島、なんてものが混ざっておったりもする。当然それらの部族には個別に王がおるわけで……なんともややこしい。


 こうした、国ごとの細かな実情は、この地図からは読み取れぬ。

 『十三国統治』とは、そうした各国の細かな情報をごっそり省いた、簡易的な国境線に過ぎぬのだ。

 それぞれの国の首脳が、「この境界線の内側は、俺達の縄張りだ」と主張しているだけで、実際は内政問題だらけ、というわけだの。

 おそらく国土を人間種(と、彼らに友好的な亜人種)が完全に掌握していると言える国は、この中では、「神聖アゼルリア王国」と、アゼルリアのリアッカ大陸植民地としてスタートし、後に独立した「オリシュタイン騎士大公国」の二国だけであろうな。


 それでは、意味のない区分けなのか、と言えば、そういうわけでもない。

 むしろ、国別世界地図としては、現在のアゼルガで最も信用に足るものであるぞ。

 だが、その辺りの話は、少々長くなる。「スラッジ・ウォー」や「ハイ=ロキア・マギウスコンコルダート」といった歴史の解説を必要とするので、またの機会に譲ろう。


 といったところで、簡単だが、今回のお茶濁し資料紹介を終えることにする。

 次回の機会があれば、一つずつ、国の解説をしていければと思っておるぞ。(む? 誰だ? 「手抜き更新回を十三回もやる気?」、などと陰口を叩いておるのは)

 恐らく最初は、「自由と冒険者の国」と称される、この国であろうな。


 https://i.imgur.com/1eEw7vo.jpg


 では諸君。

 また会おう。さらばだ。

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