【資料】ヨルの談話(6)「属性と血神」
おはよう諸君。
オリシュタイン騎士大公国、“剣の都”ルヴルー、モーブル大聖堂前広場より、ヨジュアランド筆頭宮廷魔術士ヨルである。
木っ端小説を読みに、よく来てくれた。
だが生憎、本日の更新はお休みである。
……なに? 最近私が来なくてもお休みになっている日がある? 昨日もそうだった?
まさか。気のせいであろう。
でなければ、私の背後に見える大聖堂でも崇められている、光の女神レイアとその眷族達が作者の首を召し取ることになる。まさかそこまでの怠慢を見せているということはなかろう。
「アー!」
ん? 妙な叫び声が聞こえたな。なんであろうな。
というわけで、例によって更新お休み日の、穴埋めお茶濁し資料紹介シリーズである。
今回の内容も、小説本編を読み解くのに必要なものではないぞ。
一切読まなくとも、小説自体の面白さに差し障りが出ることはないので、安心して欲しい。
とはいえ、人間というものは不思議なもので、そう言われても目の前に文章があれば妙な義務感が働くやもしれん。結局、読まねばならぬのでは、という気になる者もおるやもしれぬ。
しかし、本当に読まなくとも大丈夫だからの。
そもそも小説のような純粋娯楽物でない時点で、読むに楽しい物とは限らぬし、そうでなくとも資料は逃げぬ。
作者も「小説内で気になったこととかあった時の、手引きになれば」と言っておったから、小説を読み進める中で、背景設定が気になった時、はじめて戻って来て読めば十分であると思うぞ。
前置きが長くなった。
今回は前回の続き、『アゼルガ魔法基礎知識』の三回目になる。
題して、『属性と血神』である。(前回予定していた『精霊と血神』というタイトルは、今回の内容に若干ふさわしくなかったので、変わったぞ)
アゼルガにおける最もポピュラーな魔法、四大魔法を統べる『属性』と、そこに君臨する『超越者達』についての解説である。
さて、『四大魔法』は術者自身の体内のマナを用いる魔法である、という話を前回行った。
だがこれは、『古代魔法』との比較の為の定義でしかない。
実際には、アゼルガの民の99%は四大魔法しか使えないのだから、あまり意味のない定義であるとも言える。
むしろ、何故『四大魔法』と呼ばれるのか、ということから定義を見直した方が話が早いかもしれん。
アゼルガの魔法が『四大魔法』と呼ばれる理由……それは、この世界の魔法が、全てなんらかの属性を備えているからである。
ゲームで良くある「ファイアーボールといえば火魔法」「トルネードといえば風魔法」といった分類のように、各魔法に系統が存在しているのだな。
そしてこの『四』という数字は世界を形作る元素に由来するものである。
ファンタジーではお馴染みの、所謂「火」「水」「風」「土」、四つの
まずは、謎の文字列を貼ることにしよう。
https://i.imgur.com/PpbKo7M.jpg
大文字で並んでいる定番の四大属性と、小文字で間を埋めている「光」「闇」「生命」「混沌」……裏・四大属性、とでも呼ぶべきものとの配列図であることが分かるだろうか。
これが、アゼルガのコモンマジック、『四大魔法』における八属性表になる。(四大魔法なのに八属性でややこしいの)
これら、世界の構成要素たる八つの属性、八つの力のどれかに直接働きかけ、本来起きるはずのない現象を引き起こす術が『四大魔法』であるわけだ。
図の中で大文字になっている「火」「水」「風」「土」の四大属性は、対極にある系統と正負の関係にあり、隣の系統とは相性が良い。
「火」であれば、「水」とは打ち消し合う間柄であり、「土」や「風」とは相性良好であるということになるぞ。
まあ、この辺りは多くのファンタジーで定番の設定であるから、あまり説明の必要も無いかもしれんな。
では、間の「光」「闇」「混沌」「生命」、裏・四大属性は何なのか。
アゼルガの魔術大系的には、こちらは四大属性の下位に位置する系統とされておる。
力の強さ自体は引けを取らぬものなのだが、誕生時の流れが影響しているようだ。
元々、世界が創造された時、既に四つの属性が存在していたのに対して、こちらは、それら四元素の力の相克によって新たに生じた属性である、というのが定説であるぞ。「火と土の相克たる、混沌」、というわけだな。
つまり、「そもそも四大属性がなければ存在し得なかった」という考え方に基づき、下位におかれておる。
これは後述する、各系統を司る最高神の誕生順にも見られる要素なので、それなりに説としては筋が通っておる。
ただ、ハイ=ロキアの賢者達の一部には、「世界を構成するもの」「世界を形作るもの」たる四大属性に対し、裏四大は「性質を定めるもの」であるという説を唱える者もいるようだ。明確なところは未だ分かっておらんのかもしれんの。
では次に、これらの力を司る神々について解説しておこう。
以前『はじまりの四神』についての解説回において既に示唆されていたが、アゼルガは多神教世界であるぞ。
力の弱い下級神や、竜神、魔神なども含めれば膨大な数の神々が存在しておる。
この辺りは、八百万の国である日本のようであるな。日本同様に、人々に信奉されておる多数の神々がいるわけだ。
しかし、日本と大きく異なるのは、目に見える形での力・庇護・奇跡を、神が実際に与えてくれることであるな。それにより、神々はより下位の存在へと強い影響力を持っておる。
特に、霊的な繋がりによって、信奉する者に加護を与える超越者を『
そして神もまた、八つの系統のどれかに属する存在である。その為、血神を持つ者は、その神の属する系統に対し、特別な力を得ることになる。
例えば、火の神を血神として持つ者は、火の魔法への高い適正を持つことになる。
火魔法の修得は容易くなるし、使用した時の威力も他の系統の魔法とは比べものにならん。
おまけに、火の攻撃に対する耐性まで得られる。
言わば、火のエキスパートになるわけだな。
アゼルガの住人は生まれながらに皆、親の血神を受け継ぐ。
両親どちらの血神を継ぐかはその時々であるが、生誕と同時に守護神を持ち、血神を持たぬ者はアゼルガには基本いない。(つまり、血神を持たぬ佐藤翔はなかなかに特異な存在であるということになるな)
親から受け継ぐわけなので、アゼルガは「血」「身分」「一族」「種族」といったものが非常に重要な世界である、とも言える。
一応、後天的に信奉する神を改め、新たに血神を得ることも可能であるが、特別な条件が必要で、滅多に起きるものではないようだの。一説には、神たる超越者そのものとの邂逅・接触を必要とするとかなんとか。
さて。
多数いる神々の中で、特に多くの者の血神となっているのが、八属性の最高神達である。
彼らは「神」という言葉すら陳腐なほどの別格の存在として、世界の理そのものを司っている者達であるぞ。
火の神、ルド。
水の女神、イシュ。
風の女神、モーラ。
土の神、バラク。
光の女神、レイア。
闇の神、マグニス。
混沌の神、ベラルク。
生命の女神、ローズアリア。
以上、八人の神々である。
彼らは神となる前の出自が元々精霊であったこともあり、「八体の精霊神」と呼ばれることもあるぞ。
特にルド、イシュ、モーラ、バラクの四人は、『はじまりの四神』の一人、バリンによって、彼の代行者として選ばれた者達である。
彼らは、元は最高位の精霊達であったが、バリンとの盟約によりこの世界の一部となることを選び、神となった。
自らの眷族たる精霊達だけではなく、アゼルガ全体の守護者となったわけだな。
アゼルガが滅びる日まで、世界と共にあると誓ったと言われているな。
一方、レイア、マグニス、ベラルク、ローズアリアはそれより後に生まれた者達である。
こちらの四人は、ルド、イシュ、モーラ、バラク達が神々となった後、その子として生まれた第二世代の精霊神である。
この一連の経緯もまた、「四大属性の下に、裏・四大属性がある」とされる理由であるな。
といったところで、簡単だが、今回のお茶濁し資料紹介を終えることにする。
今回は若干駆け足で説明不足な部分もあったが勘弁してもらいたい。あまり長いと何の為にお休みにしてるのか分からなくなるからの。(設定資料を引用してまとめるだけで一回作るという手抜き回のはずなのだが、このテキスト書くのに、結構な時間かかってしまっておるらしいぞ……)
あと余談だが、今回のような魔法解説も大事だが、一度地理の解説をした方がいいのではと思えたりするな。
「佐藤が地図を見たがる→世界地図開示」という内容の回がいずれくると踏んでいたのだが、一向にそういう回が来ぬのでな。
地名や国名を紹介した方が、楽しめそうに思えるのう。
その辺り、資料開示も少し考えながら進めたいものである。
では諸君。
また会おう。さらばだ。
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