現代ファンタジー 魔王様の日常

私は今日もマジックアイテムを作る。この世界では魔法と云う概念は空想上のものらしく、魔王(予定)たる私が作った物は下等な素材からでも十分な効果を期待できる筈だ。


「蒼天たれ、風の子よ。我は魔王クレク・マルス・ヒューマ。

黒き衣の契約において、一迅の旋風を望む者也!」


地面に置いた石に両手をかざす。

掌からは緑色の魔力が幻想的な輝きを発し、薄暗い魔王城の内装を緑色に染め上げた。

私はほくそ笑むと、出来上がったマジックアイテムを手に取り、立ち上がる。


河原の石を素材とし、風のエンチャントを込めた物。風の力を蓄えさせることで、竜巻を起こす。

実験の為に河川敷に出て、風の力を籠める事にした。一般人でも出来るように魔力は使わない。


「えいやー!」


円盤投げよろしく片足を軸に思い切り回る事により、石に風圧を当てる事で力を蓄えさせるのだ。

私の足の力が割と極限に達した時、手から石を離す。円盤状の石は風を発しながら川の方へ向かっていき、水面を四回跳ねて、そして沈んだ。


『石切りで一回水跳ねが増える石』。バカ売れ確定だな。


今日も魔王城(ダンボールハウス)は平和だった。

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