ホラー(?) 傘と白装束
雨の日は幽霊が出る。
さりとて雨の日に限った話ではなく、何かの境界が交わる場所が、最もこの世ならざる者たちが侵入しやすい場所らしい。
霊感を持つ者は幽霊に魅入られ易い。この世とあの世の中間に位置していると、認識しているから取り込み易いのだ。
なぜこのような話をしたのか。
それは目の前にこの世ならざる者が居るからだった。
ボンヤリ暗いアスファルトの上、雨でシトシト濡れる人型が、白装束で立ち尽くす。
頭のある位置には白い被り物をしていて、そこに何があるかは分からない。只々口元が見えそうで見えないのだった。
白装束が此方に向かってヒタヒタ向かう。
簡単に逃げられそうな速度。しかしこの手の輩はほぼ十割が粘着質で何時迄もついてくる。
だから私は、さしていた傘を閉じた。水が気持ち悪いが、仕方ないものだと思って諦める。傘をクルクル回し、駆けた。
この手の現象は、相手のペースに呑まれない事が肝心だ。だから私のペースで、傘の切っ先を白装束の心臓部へ穿つ。
聖別された銀で出来た切っ先は効果があったのか、火に入れたゴキブリの様な鳴き声が響き、そして白装束は風船のように萎んでいった。
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