現代ファンタジー 甘やかし
甘やかし
どたばたと、メイドが屋敷で生き急いでいた。
それを見る髭面の主は、絨毯の上でごろつきながら、たゆたう顔で言う。
「雪ぃ~。そんな急ぐほどの事は特にないだろうに」
「そうなんですけどシェンフォニー様。
やっぱ癖みたいなものでして。常に仕事をしていないとどうも落ち着かないのです」
「あっはっは、たまにはゴロゴロしても良いんだよ?ほら、なんなら抱いてあげようか?」
「んなっ!?け、けけけけ結構です!!」
コロコロと柔和に笑うシェンフォニーを見て、メイドの雪は歯をガタつかせながら、分かり易く動揺するがわざとでは無い。だから直ぐに、仕事に戻ろうとする。
その時に、突然に、包み込まれた。
シェンフォニーが後ろから、雪をキュウと抱きしめて頬を寄せたのだ。髭面だが、密着しても不快でないのは何らかの補正だろうか。フェチなのだろうか。
あ、ちょっと香水の臭いする。その臭いは雪が好きだと何気なしに言った花の香りだった。
「今日の仕事は、俺と一緒にゴロゴロする事!」
耳までトマトのように真っ赤にした雪はつい抱きしめてきた腕を軽く抱く。そして密着していなければ小さな声で言う。
「……少しだけですよ」
シェンフォニーはカラカラ笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます