第14話
十四
「ねえ、君はさ」
ふと気になったように、彼女に尋ねられた。
「なんで知らない他人に、そこまでのことが出来るんだい?」
聞かれてオレは少し考える。
「それは……」
オレは中二の時、陣内先輩に尋ねられたことを思い出す。
オレはこう答えたんだ。
「それは、オレの憧れの人みたいになりたいからです。そいつは口が悪くて、無表情で、キレると竹刀振り回す凶暴な奴なんですけど――すげー、優しいんですよ」
幼稚園の頃、ガキ大将からいじめられていたオレを助けてくれたのも、小学生の頃ペットの犬のシシタローが亡くなってショックで号泣したオレと一緒に泣いてくれたのも、千寿だった。
悩みを気軽に相談できた。
オレの一番のコンプレックス――下――を笑わないで励ましてくれたのも、千寿だ。
見知らぬ人に傘を貸したり、自転車に乗せたりしたのは、全てオレが千寿のようになりたかったからだった。
強くて優しい。オレにとって千寿は最高の女の子だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます