第9話

              九


 夕暮れの公園で考えた。オレは一体どうしたいのかと。

 そっとズボンの上から下腹に手をやる。

 オレは怖いのだ。だから逃げている。

 誰が好きかなんてもう明白なはずなのに。

 この関係が崩れるのを著しく怖がっている。

 あいつから逃げている。あいつはオレを励ましてくれたけれども、あいつの優しさに甘えてしまいそうで。

 だが、しかし。

「…………」

 進まないという選択は、後悔を残す。やらないで後悔するより、やって後悔か。

 オレは深呼吸してベンチから立ち上がった。

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