ダイコ・ファンタジー~そして異世界へ~

「たのもー!」


 幼い頃から剣道続けて今や女子高生……遂にこの時が来た!


 全国大会常連選手を次々と生み出して来た日本一有名な剣の道場『封狼風鬼ふろふき』。


 今日ここの門弟達は全員、このアタシ――西芽にしめ代子だいこの剣の錆となる!


 持ってるの木刀だけどな……言葉のアヤだアヤ。


「あらあら、いやですわ。また異世界と繋がってしまいましたの」


 アタシが勢いよく道場の扉を蹴破ると……そこには喫茶店と思う要素だらけの内装とテーブルでティータイム中のきれいなねーちゃん。


 どうなってんだ? とアタシが首を傾げてると、ねーちゃんが喋り出す。


「このままではあなたは異世界に転移してしまいますわ……でもご心配なさらず。ここから先へ進んだ所に扉が――」


 おっしゃ! その扉で元の世界に戻れるんだな! アタシが走り出すと同時に左がどうのと言っていた気がするが……関係ねぇ!


 見えて来たぜ! あれが扉だな! 左側にもあるみたいだがアタシの足は右側を進んでいる……このまま扉にタッチしてガバッと開けてやるぜ!


「貴様! 私が用意した転生者では無いな……何者だ!」


 今度は軍服を着たねーちゃんがいた……立派な翼が生えてるが関係ねぇ。名を聞かれたからにゃ名乗らなきゃいけねぇ。


「アタシの名前は西芽代子! 剣道で世界を取る最強の女子高生だ!」

「威勢のいい事だ……ならばこの力で魔王の軍勢に立ち向かってみせよ!」


 一瞬アタシの体が光ったと思ったらビキニアーマーというには面積があって、その下には布か何かで出来た服があるから、そんなやべぇ格好じゃねぇ。


 おいおい。持ってた竹刀がやたらと格好いい剣になってるじゃねぇか……。


 いいぜ! 何かゲームとかで見るような景色が広がってるが、この世界で天下を取ってやるぜ!


「望むところだぜ!」


 すぐに魔王の軍勢は現れ、アタシはそこに突撃。


 名前合ってるか知らねぇがリビングアーマーに人間型マンティコアに何か目が無駄に多いドラゴン……アタシの力とこの剣が合わさりゃ剣振り回してる間にバッタバッタと倒れていくだけだ! このまま行くぜ!


「遅かったな。我が力は全て戻った……もう聖剣では我に傷は付けられぬぞ」


 親玉のお出ましか。だが今のアタシの気分は最高潮……この一撃を喰らえぇ!


 目の前にいるのは頭から角が生えて人外成分がそこそこあるほどよく青い肌の人間型……何なら闇属性でもあるのかってくらいヤバそうなオーラが体中から溢れてる。


 そんなヤツ目掛けてひと思いに剣で叩きろうとした……刀身が光輝いてて眩しいぜ。


「なんだその剣は……聖剣ですら無いではないか」


 ほぉ、今までのヤツとはひと味違うな……何かに阻まれてるのか、これ以上近付けやしねぇ。


 だが、そんなの関係ねぇ! もう一度、いや何度だって剣をたたき込み続けてやるぜ!


「無駄な事を……そんな攻撃を三日三晩続けたところで、何も変わらぬ」


 上等だ! 三日間ぶっ通しで続けてやるぜ!


 そして三日が過ぎたが流石アタシだ……全然疲れて無いぜ!


「三日経ったというのにニャック卿め……未だにガンモ公国を落とせぬのか。やはり四天王から降格させるべきかもしれぬ」


 青肌のイケメンはここ三日間、アタシの攻撃など意に介さぬかのように普通に指揮を執って生活してやがった……はっ、今に見てろ。


 これだけ剣を振り続けたんだ……もう三日前のアタシじゃねぇ。このよくわからねぇ結界か何かをアタシが突破した時、お前なんざ一撃だ!


「今度こそ勇者を連れて来た。ダイコと言ったな……時間稼ぎご苦労だった」


 あの軍服ねーちゃんがやって来やがった。その隣にはアタシのよりずっといい装備を来た女がいやがるが、いやーこいつぁ完敗だ……可愛いじゃねぇか。


「ダイコよ。選ぶがいい。この紅き宝珠は貴様の――」


 おっしゃ! パワーアップアイテムだな……だったら迷う事はねぇ。


「命と引き――」


 真っ赤な水晶玉……いや、オーブってやつか。手にすると力が……ん?


「替えに、この者に――」


 何だ……? 力が抜けて……オーブが赤く輝いて……。


「更なる力を与える。こちらの蒼き宝珠は――」


 頭がぼーっと……して、来やがっ――

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