nextday SUNDAY
nextday SUNDAY
昨日四人一緒に帰ればよかった…誰もがそう感じてやまなかった。
午前7時…
正臣の元に一通の電話がかかる。
「はい。石川(正臣の苗字)です。」
その電話の奥から聞こえたのは泣きそうになる美代の声だった。そのいつもの美代とは想像がつかないほどの、か細く弱々しい声は正臣の全身に危険を察知させた。
『正臣……智嘉子が智嘉子がぁぐすっ
うわあああ』
「ちょっと落ち着け。智嘉子がどぉした?」
『警察に拾われたぁ』
「そうか警察に……ん?拾われたってなんだよ」
『智嘉子がゴミ捨て場に捨てられてるとこを拾ったって警察から電話があった』
「ゴミ捨て場?!」
悪寒と恐怖が全身を駆け巡った。立てなくなるほど膝が震えている。
『今は警察病院にいるっているから今から行こう』
「龍也は?」
『今一緒にあんたの家に向かってる』
と言ったと同時に部屋にチャイムが鳴り響いた。自分の膝を叩き、動けと願い飛び出した。
消し忘れたテレビは誰もいない部屋に向かって、かなり早い台風の接近を伝えていた……
警察病院に駆け込んだ三人は智嘉子の部屋を探した。受付に「宮本 智嘉子」と怒鳴り込み、部屋番号の書かれた部屋のドアを勢い良く開けた。そこには人差し指を立てこちらを見ている女性がいた。
「篠原先生…」
涙を必死に抑えその女性の名前を絞り出すように口にする。そう…その女性は孤児院の院長先生である。
「静かにしなさい。智嘉子が起きるでしょ」
それは優しくて厳しい昔の懐かしい感覚だった。
「あの、先生...」
「言いたいことは分かるわ。でも私にも分からないの。なんで智嘉子がこうなったのか」
先生は優しく智嘉子の顔を撫でた。
「それなら、私の出番かな」と美代が一歩前に出た。出たな情報モンスターと言わんばかりに龍也が美代を睨む。
「やったのは、元久だよ」
「おい、まじかよ」とぱちくりさせている龍也の目の奥には確信が見えた。誰もが認めたくなかった。誰も口を開かなかった。時が止まったように固まって、誰も溶かそうとはしない。
「あんた達しっかりしなさい!」
先生がみんなの心に火を放つ。
「私は何があったか分からない。けど、元久がそうゆう子ではない事だけは分かってるの。迷ってるなら取り敢えず足を動かしなさい」
三人は顔を見合わせ、深く頷いた。
「やっぱり、俺たちはまだまだ親離れ出来ないっすね」
龍也はニヤリと笑い美代と正臣の手を引いた。先生は悲しそうな笑顔を見せて見送った。
太陽を雲が覆い、嘲笑うように一面を埋め尽くした。
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