最終話 魔法少女のとなりには
あの夜から何世紀か経った。町の景色は変わった。私の知っているものは何もない。それでも一向に魔獣は消えない。何度戦っても次から次へと現れてきりがない。それに私の生まれた時代とは違って1日に何回も襲来することもある。私もお腹が空く。そういう時は、優香ちゃんがお金を作る。優香ちゃんも段々力をつけてきて、雨を降らしたり天候は操れるようになった。最近では物を作れるようになった。本物ではないけれど、何もかもが一緒の、少し古い言葉で言えばクローンみたいなものだ。これで、代金を支払って買い物をする。姿が中二の時のままなので、本当のお金は手に入れることができない。これはしょうがない。そんなことを思いながら、シチューを食べていると突然サイレンが鳴った。
マントを羽織って外に出る。人が走っているのとは反対に空を走る。まずは一発弓を放つ。こちらに気づいたところで銃を撃つ。ここからは夢中で敵を切りつける。そしていつも、優香ちゃんの
『やりすぎよ。』という一声で目が覚める。そして私はフードを被って、家に戻る。これがいつもの流れだ。ああ、もったいないことをした。シチューが冷めてしまったようだ。
またそれから数えるのをやめるくらいには年月が経った。もう私は空腹を感じなくなった。私は敵と戦っているとき以外は、風呂に入っているかベッドで眠っている。敵が出るまではビルの屋上で町を見渡している。そんな人間ではなくなった私の隣には優香ちゃんがいる。今日も私達は敵が来るのを待っている。魔獣がいなくなるその日まで私達は戦い続ける。
今、世界にたった一人の魔法少女の隣には黒髪の女神様がいます。けれど、人々はそんな闇に紛れる少女のことも女神様のことも知りません。けど彼女たちはそれでもいいのです。この町を守ることは今はもういない大切な人を、大切な人との思い出を守ることになると信じているからです。きっと彼女たちはこの町さえあればそれでいいのです。きっとこれから先、ずっとこの町だけを守り続けるでしょう。これは、彼女たちの【エゴ】なのでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます