第28話  目覚め

朝起きると私はベッドの上にいた。おかしい。私は確か、みんなと戦って、それから?昨晩の記憶が曖昧だ。朝陽が差し込んでくるのが分かる。ちらりと枕元の目覚まし時計を見る。時計は11時を示している。学校は、もういいか。すっかり不良になってしまった。けど、もういい。一階に降りて顔を洗う。トースターに食パンを一切れ入れてスイッチを入れる。その間にベーコンエッグでも作ろうかと冷蔵庫を開けた時だった。ふわりとカーテンが揺れる。窓は閉まっているはず。そう思って窓の方を見て瞬きをした、一瞬の出来事だった。白いドレスに黒髪の女性が部屋に現れる。すると、その女性は

『おはよう。よく眠れた?』その声には生気がなく、人ならざる者の声だとすぐに分かる。その女性は見たことがないはずだった。でも、口から一言ぽつりと零れる。

「優香ちゃん?」微笑みながら優香ちゃんは答える。

『ええ、そうよ。少し成長したけど。』優香ちゃんは、

『貴方が戦った後のこと、知りたくない?』と聞く。私は頷く。

そして、私のことを教えてもらった。

「じゃあ、私は死ねないんだね。」

『そうね、魂は日本が消えるか、世界が消えるかしないと成仏できないわね。』

「まあ、でも一人じゃないし私は別にいよ。」

『でも、私は神様だからこの世に存在してるわけじゃないのよ。』

「まあ、でも今更どうこう言ってもしょうがないよ。改めて。これから、一緒によろしくね。」

『ええ、よろしく。』チンとトースタが鳴る。これから、どんなに飢えても毒を盛られても死なないらしい。それは、少し悲しい。けれどこれは戦うため、この町を守るための犠牲。私一人が犠牲になってみんなが救われるならそれでいいと思う。

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