新しい生活の章

第27話  生まれ変わって

ハルの宝石に取り込まれてから私はだった。でも、目が覚めると真っ白な世界にいた。何もない。以外のものは何も見えない。方向感覚がおかしくなりそうな世界を歩く。しばらく歩くと、人がいた。白い世界で白い椅子に座り白いテーブルの上で白いティーカップで何かを飲んでいる。その人は振り返りこっちを見る

『あら、いらっしゃい。そんな怖い顔しないで。ああ、武器は出ないわよ。だってここは私のだもの。』どうしてお前がいるの。そう叫びたい。武器は出なくとも首を絞めることはできる。コイツだけは、許すことはできない。今すぐにでも殺してやりたい。そんな衝動を抑えながらコイツを睨む。

『まあまあ。落ち着いて。お茶でも飲んで一緒にお話しましょ。貴方のことを。』そう言って私の体を無理やり椅子に座らせる。私の知っているコイツじゃない。別人に見える。それに、私のことについて知りたい。だからは今はこいつを恨む気持ちは捨てよう。そういった感情を捨ててコイツの話を素直に聞こう。

『紅茶は嫌いかしら?』

「いいえ。」

『それならよかった。はい、どうぞ。熱いから気を付けて。』

『それで、貴方のことなんだけど、簡単に言うと貴方は死んでないわ。というより、人間じゃなくなった?っていうの。』

「どういうこと?」

『えーっと、貴方は神様になりました。貴方のその私を恨む強い気持ちと千春ちゃんに行った悪魔的所業によって貴方は人間という枠を超えてしまいましたー。』

「は?どういう事?じゃあ、私は」

『うん、貴方はこれから何千年と生きなくちゃいけないわね。』

『それと、お願いがあって。』

「なに?」

『私と一緒にこの町を守ってほしいの。まず、神様にはそれぞれ領域があって3つに分かれているの。』

本域ほんいき、私で言うところの、この町ね。次に真域しんいき、これは私にとってあの住宅街ね。最期に神域しんいき、名前が一緒でややこしいけどこれは神様の心の中の世界のこと。それで、本域は神様それぞれで守っているんだけどこんな感じの障壁なんだけど、』と言って、手から小さい薄い壁を出す。

「それがどうかしたの。」

『少し前から日本に魔獣が攻め込んできたじゃない。そのせいで色んな所の障壁が壊れちゃって直そうにも次から次へと来るしで守り切れなくなりそうになってきそうで。だから、貴方もこの町の半分を守ってほしいの。ダメかしら。』

「え?ちょっと待って。魔獣ってあなたが作り出したんじゃないの?」

『違うわよ。勝手に出てきたの!』

「そうだったのね。なら私もこの町を守るの手伝ってあげる。」

『ホントに?ありがt』

「ただし、条件があるの。」

『何?』

「一度死んで。」

『え?何言ってるの。私が死ぬなんてありえないから。』

「どうして?」

『町のいたるところに石像があるの知ってる?あれ、実は私の分神がちょっとずつ分けてあってね、本神が倒された後もそこからまた蘇ることができるの。』

「へぇー、そうだったの。じゃあフリでもいいわ。」

『フリでいいの?それならできるわよ。』

『あと、貴方の真域は千春ちゃん自身だから離れることはできないわ。それから、千春ちゃんは力こそ付けたものの怪物になってしまったわ。変身すると自我とか理性が保てなくなってしまったの。だから、暴走しないようにするのが貴方の役目。』

『それと私、もう魔法少女とか家族を作るとかやめることにしたわ。』

「そう、それはよかったわ。」

『だからね、千春ちゃんに全部任せようと思って魔獣が全滅するまでは呪いを負った状態でいてもらうわ。』

「呪い?」

『そう、呪い。とりあえず、肉体が不老不死でいる呪いをかけておいたわ。まあ、神の真域にされてるから魂はずっと世界に固定されちゃうんだけど。』

「そう、なの。」私のエゴにまだ人を巻き込み続けるのか。私は最低だ。

『そろそろ、自分の真域に戻ったら?千春ちゃん倒れてるし、ベッドまで運んであげたら?ああ、出口はそこにあるわ。じゃあ、また呼ぶわね。』

私は出口へ歩く。ハルを見つけ抱き上げ運ぶ。そして、ハルの家に入りベッドで寝かす。

「ごめんなさい」そう呟いて髪を撫でる。時計は6時を指している。戦い始めて12時間経った。その間に3人死んだ。1人は怪物になった。これでよかったのか、私には分からない。

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