第23話 逃げ
その後触手はミオちゃんに伸びた。そして、ゆっくりとミオちゃんの体を折り曲げていく。でも、体はエビ反りになっていく。
「やめて。これ以上曲がらないよぉ。ああ痛いいい!いやああああ」ミオちゃんの叫びはヤツには届いてないようだ。ゴキっと音がした。その後も関節を無理な方へ曲げる。首は180度曲がって後ろを向いていたし、掌は外側を向いていた。ヤツはそんな姿になったミオちゃんを私のところへ転がしてくる。まるで、私達を弄んでいるかのように。私の方に触手が伸びる。私は
「痛いっ。」あまりの痛みによろけてこける。もうだめだ。そう思って、目を瞑る。でも触手が伸びてこない。と思った時だった。パーン!銃声が聞こえる。
『ぐはっ。お、お前は離れたところにいただろう!』ヤツの声が聞こえる。ゆっくり目を開けると、目の前には青い服を着た黒い長い髪の少女が拳銃を構えていた。
「ユウカちゃん!」
「ごめんなさい、遅くなって。」
「あなた、まだ走れるだけの体力は残っているの?」
「うん。足は怪我しちゃったけど、頑張れば走れるよ。」私は立ち上がって言う。まだ足は痛む。
「じゃあ、この住宅街から急いで出て。すぐにあなたのところへ向かうわ。」
「分かった。」急いで飛び立つ。しばらく走っていると周りの景色は、闇が消えてただの住宅街になっていた。その後しばらくビルの上を跳んだ。住宅街から離れたビルの上で住宅街から隠れるように塔屋の影に座り、一息つく。足からの血は止まらず、ビルの屋上を濡らしていく。段々と私のあたり一面に血の水溜まりができていた。段々と意識が遠のいていく。ぼんやりとした意識の中で、私のもとへユウカちゃんが来る。
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