決戦の章
第20話 最後の
「集まったわね。」ユウカちゃんは言った。その後、作戦についてもう一度丁寧に説明した。説明しながら私達は人気のないところまで歩いた。
「・・・それから、死にそうなときはリンのところまで全速力で逃げて。じゃあ、移動するから変身して。」こう言われたので、みんな変身する。
「ついてきて。」とユウカちゃんはビルの上まで跳ぶ。残った私達もそれに続くように跳ぶ。
しばらくビルの上を移動して住宅街の近くまで来た。住宅街の近くのビルの上で、ユウカちゃんは
「私はこの位置にいるわ。それでリンは本拠地の向かいの家の裏の家の屋根に立っていて。それくらいなら届くはずよ。そこで待機していて。」
「ミオ、私の武器の数を増やして、ハルの攻撃力を上げて。」
「わ、分かりました。」と私達一人一人に向かって呪文を唱える。その間にリンが、
「あのさ、人の家のベランダってバレたらまずくない?」
「心配ないわ。あの住宅街にはだれも住んでないし、そもそもあの住宅街そのものがあいつの見せる幻だから。」
「そうなんだ。じゃあ心配ないね。」安心したようにリンが言う。
「ねえ、これがもしかしたら最後になるかもしれないんだよね。」元気なくユヅキちゃんが言う。
「確かにね。でも最後にならないように努力するのは自分自身じゃない?」と優しくリンが言う。私はそんな二人のそばで小さな声で聞く。
「私は最初どこにいたらいいの、ユウカちゃん?」
「あなたは初め、ユヅキ達といて。」
「分かった。ありがとう。」私は答える。6時のチャイムが鳴ったら一斉に移動する。その前に私は、宝石から一枚の写真を取り出す。これは母が亡くなる前に4人で撮った最後の家族写真。ぎゅっと握りしめて目を瞑り、無事で皆で平和に過ごせるように、と願う。
宝石に写真を戻し、深呼吸をして住宅街の方を見る。
心はなぜだかとても落ち着いている。
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