追憶の章
第10話 過去の
町を一望できる山の頂点にあるはたから見ると、虫や小動物の墓に見える小さな3つの土の山。そこには3人の人が眠っている。わたしは、手を合わせてあの日のことを思い出す。私は先輩たちと食べた鍋の味、匂い、話したことを忘れることはない______
雪がはらはらと降る午後一時。こたつに入って鍋を4人でつつきながらこれからのことを話し合う。
「・・・。以上よ。ほんとのことなの。それで、これからどうする?」こう言いながら鍋ふたを閉じたのは森咲良さんという高校2年生の中学1年の私からすれば大人の先輩。
「「もちろん、倒しに行くよ。」」人数分の箸と器を持ってきたのは、息の合った双子の先輩の北条鈴音さんと美鈴さん。
「もう、これ以上誰にも苦しんでほしくないもんね。」と、鈴音さん。「そうだね。」美鈴さんが答える。
「優香ちゃんはどう思う?いやならここで断ってもいいんだからね。」咲良先輩は優しい人だ。でも、私は
「やります。ここで断るなんて私にはできません。」器に白菜をよそいながら答える。
「じゃあ決まりね。さて、作戦なんだけど…」この日は咲良先輩の家に泊まることになった。一緒に夕食を作ったり、寝る前には普通に恋バナをしたり普通の中高生のお泊りを楽しんだ______
______この日は楽しかった。こんな日がこれからも続けばいいのにと思っていたのに。墓の前で私は唇を噛む。
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