第7話  夕日に照らされて   B

私はさっき魔獣に飛ばされた。ハルちゃんが来るよりも先に魔獣が来た。その後、私は魔獣の手につかまった。おかしい。こっちの手はさっきハルちゃんが落した方の手のはずなのに。よく見ると、その手はわき腹から生えていた。背中からぐちゃぐちゃっと音がした。まずい背中からも手を生やす気だ。このままではハルちゃんも攻撃されてしまう。とっさに脳内会話テレパシーで逃げてもらうように指示する。

(駄目よ。攻撃しては。私にはまだが残っているから。こいつから逃げて。)そうは言っても、きっとハルちゃんは逃げずに戦うだろう。あの子はそういう子だ。だからリンにも伝える。

(リン。ハルちゃんを連れて逃げて。)

(で、でも。それじゃあミコトさんが助からないよ!)

(大丈夫。私にはがあるって言ったでしょ。私の言葉を信じて。)優しく話しかける。

(う、うん。分かった。)リンはそう言うとすぐに駆け付けてくれた。ハルちゃんを持ち上げて遠くへ行ってしまった。ハルちゃんが何か言っているようだが聞こえなかった。すると、とつぜん首を絞める力が強くなった。魔獣はビルの上に私の首を絞めたまま律義に階段を使って屋上へ行った。

魔獣は私を下ろす。私は喋れない魔獣に話しかける。

「あなたは友達っているの?」

「・・・」もちろん返事はない。

「私はいなかったの。でも、リンとハルちゃんっていう後輩、いいえ友達ができたの。私のしたかったいろんなことをしたの。買い物とか、カフェでお茶したり、ハーブティーをふるまったり。楽しかったな。」

「・・・」この魔獣はよくわからないが、私の話を聞いてくれる。

「聞いてくれてありがとう。それよりもこれなんだ?」手の甲の宝石には一つだけ物が入る。私はその中に手榴弾を入れていた。

「っ・・・・」魔獣はこれにおびえているようだった。私が近づくとヤツは離れる。

「こんな人生だったけど、二人に出会えてよかった。こんなに幸せになれたんだもん。あなたみたいな優しい怪物と一緒に死ぬわ。」涙が出てきたが、涙を拭いて笑う。ああ、そうだ。二人に気持ち伝えてないや。ぎりぎりで思い出せてよかった。

(二人とも。これからは二人で頑張ってね。こんな私と仲良くしてくれてありがとう。さようなら。)

「じゃあ。一緒に死にましょう。」そう言うと魔獣は突然叫ぶと、私の首を絞める。

「うっ。」つい声が出るが、私は少し体重を前へかける。すると面白いようにビルから落ちていく。魔獣に話しかけるように、自分に話しかけるように私は、

「夕日、きれいだね。」今日の夕日は本当にきれいだった。覚悟を決めた。首を絞められているので手は自由だ。手榴弾に手をかけて____________

ドーン。小さな爆発音がした。

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