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「おーけー。あ、確かミケのおごりだよな?」

「ちゃっかり覚えてんじゃない!」

 少し前に気になる相手が良い人がどうか判断するためにキューピット(注:俺)を連れて店に行くとイイという助言(注:俺の願望)を与えていた。もちろんミケのおごりで。

 商店街の南口に新しく出来たその店は俺も気になっていた店で、いつか行こうとは思っていたから好都合。ついでにおごりならもっと好都合なんて。

「それじゃぁ明日ね、五時でいい?」

「いいとも」

「りょ」

 簡単にそれだけを言うと、ミケはさっさと店に戻って行った。開店まであと三十分。


 ミケとはなんだかんだ言ってもう十二年の付き合いになる。年齢も同じだし、夜の世界に入ったのも同じ時期で、何となくずっと一緒に居る。腐れ縁、的な。

ちなみに独立した年も一緒だった。これは本当に偶然。定休日が同じ水曜なのはミケが俺と休みを合わせたからだけど。

言っておくが恋人じゃない。友達、って言うのもなんとなく違う気がする。純粋に友達じゃないって感じって言うか。言うなれば“悪友”みたいなものだろうか。

一緒に居ても各自空気みたいで居心地が良くて。居てもいなくてもいいけど、居てくれるとちょっと楽しい感じ、みたいな? 

は、ミケの事をちゃんと考えたことないから分からないけど。

たぶんこれからも一生、ミケとは近くにいるんだろうなと思う。これまでもこれからも変わらずふざけながら面白おかしく過ごしていくんだろうな。なんて。

「ま、明日はちょっと楽しみかな」

 約束の時間までは、新作の映画でもチェックしに行こうか。


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