第3話 白い壁と俺と謎の女

目を覚ますと、周りは白い壁だらけで、びっくりする。

白く、無機質な部屋は暗く、今が夜なんだって事を知る。

あれ?なんでここにいるんだっけ。。

思い出せない。それでも良いとも思う。

暗闇に目が慣れると、紅い服を着た女がベッドの横のいすに心地良さそうに座っている。


「あ、起きた。自己紹介なんてしないわ。もう二度と会いたくないし、会わない事を祈るから。」

「はぁ。じゃあ、なんでいるんですか?」

「決まってるじゃない。ほとんどの小説がそうであるように、貴方に忠告をしに来たの。今の幸せが惜しいならこれ以上あの事件の事をかぎ回らないことね。」

「無理です。だって、気になるじゃないですか。」

「じゃあ、死んでもいいのね。」

「いや、死にたくないです。」

「じゃあ、やめるのね。私は忙しいの。これで失礼するわ。」


視界に表れたときと同じように唐突に消えた謎の女。

変なやつだな。そう思っていると急に眠気が襲って来た。


「、、さん。、、さん、起きて下さいよ。朝ですよ。」

「あ、おはようございます。」

「良かった。一週間も眠ってたんですよ。お母さんなんかやつれちゃって。。。」

「え?そんな長く?」

「はい、今に先生がいらっしゃいますからね。」

「わかりました。」


待て。待てよ。意味が分からない。一週間もここにいた?嘘だろ?

でも、時計はそういう。携帯もそういう。なら、そうなのだろう。


「圭介、、よかった。圭介。あんたまで私を置いていってしまうんじゃないかって怖くて怖くて。」

「母さん、、そんなことある訳ないだろ。約束したろ?俺は絶対に先に死なないし、姉貴の分まで生きるって。」

「圭介、、、」

「あ、お邪魔でしたか?」

「いえ、先生。本当にありがとうございます。もうなんと言っていいか。」

「お母さん、大げさです。僕らはただ圭介くんが目を覚ましてくれるっと信じて全力で自分の職務を全うしただけですから。圭介くん、なんで道路の上なんかで寝てたんだい?」

「いや、友達と昔話をしてたんです。10年前の事件の事を。それから、そいつがくれたメモに住所と名前が書かれていて、そこに行く前に家に帰ろうっと思って急いで走ってたってとこまで覚えてるんですけど、それ以外は。」

「そうか。今日は検査して、その結果に異常が無かったら、明日にも退院出来るから。」

「わかりました。あ、先生。」

「なんだい?」

「いや、昨日の夜だと思うんですけど、紅い服を着た女が部屋にいて、、、」

「紅い服?」

「いや、勘違いかもしれないんですけど、その女にどっかであったような気がして。」

「そうかい。ま、ゆっくりと時間をかければ思い出せるさ。」



「紅い服ね、、、君は何をしに来たのかね、、本当に。」

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