第21話「痛みの記憶」






“苦しみ、痛み…それらが巣食うとき、その間の辛さがある

 しかし、ある面では、うまくいっている。それは特に、表現上では”










 痛みの中に、思い出が


 滲む



 苦しさを抱えた

 記憶の運搬が

 素直な眠りへ就かせない


 疑うことの苦しさ

 返されることのない言葉

 何かが遮ったまま



 また空っぽに

 僕の空には、何もない



 不安な気持ちが、また僕をダメにする



 また心を砕く

 どうして…?を繰り返す

 問うだけの

 嫌な記憶を作り出す



 滲み、広がる

 痛みの思い出が



 人を信じさせて


 他 人を、


 信頼できる人を


 


 ある日の過去について

 思いを巡らせ

 混迷を極めて

 ある深さに至りて、上昇するのみ

 跳ね返る、その時、その強さ

 自らの生命を見る


 

 とぼとぼとした、遠泳に

 疲れ果てた時

 感じの悪い笑顔にあたり

 心の汚れを見る

 なぜ、どうして、どうやって

 痛みだけが手を差し伸べている

 切り捨てられる声を拾えたら

 きっと、特別が分かる

 


 見つかる

 君の声がきっと




 見つけられる

 君の声をやっと




 お互いが手を取り合う姿を


 どちらかということは、ないんだよ


 両手があり、触れる側と、触れられる側がある


 灯を持つものと、その灯を目がけて向かうものとが














“苦しみ、痛み…それらが巣食うとき、その間の辛さがある

 しかし、ある面では、うまくいっている。それは特に、表現上では”











 

  

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