第4話「商店街の獲物たち」
浮かれて賑わう商店街。その様子は通ってきた時は全く関心なく通り過ぎたというのに、気持ち1つでがらりと印象が違って見えた。
何故かって、今はその全てが僕らの獲物なのだから。
サンタを模したかわいい小物も、その周囲にかけられた煌びやかな装飾も、飾ってあるツリーやそれについた宝石みたいな球体、ひと際輝く星の飾りも。どれもこれもこれから僕らが手にし、我が物としてしまう可能性を秘めている。
いったいどれにしようか。あれも捨てがたい、これも良い。いっそ全てを掻っ攫ってしまおうか。そんな誘惑と希望に満ち満ちた感想を、物陰に隠れた僕とスミは言い合って大いに笑っていた。
少し前まではあんなに退屈な風景だったのに。あれは参加できないことへの不満が無意識のうちにあったのかもしれない。今なら、僕は踊らされるピエロでもなんでも良かった。
そうして、この宝の山を前に僕とスミが出した結論は同じだった。
「「あの星が良い」」
僕らが目指すは、大きなツリーのてっぺんに着けられた星型の飾りだった。
球体も、サンタも、縞々の杖も、どれもが複数並んでいる中で。たったひとつだけ、王様のように輝いて、それだけが特別な存在感を放っているのだ。惹かれないわけがなかった。
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