第一層、(2)タワーの初キャラ
「打ってみろ」と、
アーチャーはナイトに言った。
隙間から解き放った光から見ると、
目の前には灯りが燃えていた。
そうなんだ。
バリケードだからね。
打つしかなかったんだ。
ナイトからは、「ラッシュ」という
スキルが発動され、
木製のバリケードは壊れた。
四人は見たんだ。
初めてタワーの中の景色を。
第一層の景色を。
バリケードの裏には、
背の短い草が躍っていた。
風がどこかで吹き込んだかも。
何か妙な匂いがした。
死体の匂いかもしれなかった。
床は、燃やされた木の枝、
小石と埃まみれの地面だから灰色に染まった。
森みたいに、土があった。
壁は茶色の泥なんだ。
それも、同じく死体の匂いのする草が
ゆさゆさと躍って生えていた。
天井はちゃんとした電気がつく、
見た目は白そうに見えるのだが。
その質が分からぬ。
寄ってみても、見劣りしない
精巧な仕上がりなんだ。
雰囲気はそれでも変わらず、
どこから見ても、薄暗いんだ。
電気は弱い黄色く見えて、
オレンジ色にも見えそうな
目に優しい光を放ったんだ。
外の見た目とは
「タワーの中で、草が生えるのか?」
というほど違和感がするのだ。
なんとなく四人は歩いていた。
「なんだ、これだけなのか」
嘲笑うアーチャーが
鼻で笑ったんだ。
残り三人は黙って歩く。
鼻を手で遮りながら、
四人は歩く。
陣形は盾を持つナイトを前に、
残り三人はその背中につく。
敵に警戒したまま、
まだ敵の姿が見当たらない。
そして、分かったんだ。
一層は5メートルしか進めなかった。
奥まで進んだ四人は、
鼻を遮りながら、
泥の壁の行き止まりに着いたんだ。
すると、
泥の隅々から、灰色の影が動き出し、
空中で集まり、老婆の形へと形作られた。
暗闇の中から「ようこそ」、
老婆の声がした。
この旅に出会う
初めてのタワーキャラなんだ。
竜の石造に出会うために、100階に挑む シンエンさま @shinennsama
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