ミッドナイトウルブス 石田 昌行様
結婚式に黒ネクタイでくる、まるでヤクザのような主任が、トヨタの社員さんに言っていました。
「この前俺のハチロクの隣にプリウスが並んでな……スタートで抜かれたぞ」
プリウスってすごい。
レースについては詳しくないのでわかりませんが、本気を出したハイブリッドカーって速いらしいですね。
ミッドナイトウルブス 石田 昌行様
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154875989
頭文字Dを彷彿とさせる、走り屋たちのドラマです。
私は車に詳しくはないのですが、作者様は公道で走られてるとのことで、マシン性能やカーレースの描写が、お見事という他ないくらいに細やかです。
走ることに青春と命を燃やす、愛らしいバカたちの痛快レースバトル
というわけではないんですねこれが。
むしろ眼を見張るところは、丁寧に細部まで語られるキャラクターの心情やその流れでしょう。
作者様が力を注いでいる部分、マシン紹介はもちろんですが、丁寧に丁寧を塗り重ねた、配慮の行き届いている文圧だと感じます。
掃き掃除して、拭き掃除して、ワックスを塗って乾いたあとにわたとかで撫でとるくらいにしっかりとした描写です。
だからこそ、その親切すぎるほどに想いのこもった言葉を気に入れば、とても楽しく作品に入り込めると思います。
だからこそ、なかなか長いのですが。
物語の性質を考えると、この文量は必要でしたね。
とても惹き込まれるからこそ、27万字の旅路も苦痛ではなかったのです。
27万字の旅路も!(強調)
嘘です、さすがに少し疲れました。
ただ、その文が冗長である、無駄であるなんて思わなかったです。
そこは、間違いなく魅力なのですから。
割と素直に褒め称えていますが、レビューでは実は☆2なのです。
どうしても、どーしても個人的に気にくわないキャラクターがいるのです。
必要です。主人公が狼であることを辞める理由にも、これからを踏み出していくためのステップとして、物語の色彩として。
だからこそ感動は際立つのですが、私はどうしても好きになれませんでした。
若さ故の迷いもあり、間違いもあり。
それを認めることができて、新たなる一歩を進むのが大人です。でもさすがに何をいけしゃあしゃあと
そんな風に、どうしても思えてしまったのです。
そのような感想を抱いている私は、とても悔しい思いをしています。
負の方向にここまで感情を揺さぶられているというのは、それだけこの物語のキャラクターに入れ込んでいるのです。
共感し、一体化し、感情を捧げるほどに傾倒しているのです。
だからこそ、悔しくて☆2にしました。
ありがとうございます。
ただかっこよく走る様が魅力なだけのお話じゃないです。
エンジンの響く坂に明滅する、人生の刻を疾走する物語でした。
そこに生まれるドラマは、展開上わかっていたとしても、心を揺さぶられます。
静寂を打ち砕く愚かなエンジンの咆哮に、少しでも興味を抱けるのなら、ぜひオススメします。
まあ車にほぼ興味のない私は、愛車はただのハイブリッドですが(何かが台無し)。
和歌山と奈良を一周しても、ガソリンを入れたのは一度きりだったのですから(本当)。
公道をかっ飛ばす車にビクビクしながら、僕は湾岸を走ります。
法定速度で。
高速道路で一番速いのは、スポーツカーではなく、社用車です(断言)。
社畜ターボは、強い。
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