空羽七十三 転声の声優(くうはしちじゅうさん てんせいのせいゆう) 平平 祐様

 台風ですねー。


 でもこんな日も選挙に行かねば。


 自分たちの未来を誰かに決められるよりは、ね。


 それにしても、読み疲れたので少し散歩しましたら、


 案の定ですね。


 びしょ濡れですね←わかりきっていたオチ。


 やだー家から出たいー。


 小説読むのも書くのも外でやる派。遠藤です。




 空羽七十三くうはしちじゅうさん 転声てんせい声優せいゆう 平平 祐様


 https://kakuyomu.jp/works/4852201425154889345


 変な前置きですが、19万字かなかなか……と気合を入れたのです。


 10万字読むのに、大体2時間ほどなので、4時間かからないくらいか……でも集中力の低下もあるからもうちょいかかるかもと、予定の計算を組んでいたのですが。


 3時間で読み終えられました。


 それはこの物語が。


 限りなく本物だと感じたからです。






 主人公は天才女子高生声優です。キャラに入り込む絶対的な演技力。心惹かれる設定です。


 もちろんその演技ができる理由もありますが、物語の根幹に関わるため伏せます。


 殺人事件の現場に巻き込まれることから、血なまぐさいミステリーかと思いましたが、ファンタジー現代バトル物です。


 悪魔と契約したヒーロー空羽に助けられたけれど、やっぱり口封じで殺されそうになるけれども、最終回迎える物語の日までは生かして欲しいと懇願し……


 という流れから、非日常の世界に足を踏み入れていくわけです。


 何が優れているのか。


 物語展開の巧みさ、伏線の生かし方が絶妙です。


 主人公の七海ちゃんが過去に演じたキャラ、ソルト。その思い入れの強さが物語の展開に関わってくるのですが、もう内容をネタバレできないのが悔しい。


 想定されるべき、最高のタイミングで投入される、とだけしかお伝えできないです、


 私が大好きな、ここぞという大一番の大きな花火です。


 そして悪魔と契約するダークヒーローチックな少年、空羽くんの何気ないセリフ。


「ビターエンド派ですから」


 この台詞に使い方には脱帽です。


 何気ないセリフが、今後に活かされる展開、憎いですね。





 そして、悪役の魅力です。


 敵役となるキャラクターもうわかりやすすぎるくらいにすぐわかるのですが、原動力が本当に人間くさい。


 実力はあるのに報われない。努力をしても結果がでない。


 自分のやったことに意味がないなんて思ってしまった時、絶望に叩きつけられる。


 本当に哀れで愚かです。


 憎めないタイプではなく、本当に矮小でゲスです。


 でも共感できます、その愚かさ、無力さ、理不尽な社会への怒り。


 自分自身への絶望だけじゃ、その憎しみは足りない。


 他社へ向く攻撃性。間違った方向へ、間違った形へ。


 本当に腹がたつ。自分の一部分を見ているようで。


 よくある設定だとは感じてしまいますが、設定を丁寧に書き出し、心を揺さぶるエネルギーを表現なされている。


 ライトノベル大賞への応募で二次選考を通過されたという作品なだけはあります。


 完成されています。


 私が思いつく限り、穴はまるで見当たらない。


 この世界として、限りなく完成されている。


 だからこそ感じました。


 ああこれは、


 本当は理屈なんか抜きで、


 本物なんだ、と。





 物語の描き方、文章、キャラクター、伏線の貼り方、物語のテンション、温度。


 どれをとっても、商業作品と遜色ないように感じました。


 疑問に思ったことは、何故この作品はコンテストで選ばれなかったのか、ということです。


 そもそも他の作品を拝読していない私が理由なんぞわかるはずもないのですが、まあおそらくという思い当たる理由があります。


 ただ単純に、


 この物語よりも面白かった物語が大賞をとったのでしょう。


 ええ、何当たり前のことを言ってるんだと、ツッコミを受けてしまいそうですね←何当たり前のことを言ってるんだ。


 当たり前すぎることです。


 そして、それはとても絶望的です。


 自分の描いた渾身の作品よりも面白いと思う作品の、さらに遥か上が当たり前に存在しているというこの事実。


 井の中の蛙。


 地方の不良。


 そんな世界の片隅で粋がっている上には、上がごまんといる。


 まだまだどころか、


 まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだぐらいですかね。


 才能って、何ですかね。


 綺麗な物語を書くことはできます。


 面白い物語を書くことはできます。


 上手い物語を書くことはできます。


 それが、他者に認められる物語を生み出す才能とは、一体。


 時代のおかげで流行った物語はあるでしょう、運良く流行った物語もあるでしょう、たった一つの火種で炎上した物語もあるでしょう。


 その運ともいえる不確定な要素を孕む常変的な物を才能と呼ぶのであれば、そんなもの得られません。


「くそ、こんな面白い作品なのに、なんで認められないのか。運が悪い。認めてくれない周りが悪い」


 その想いを、私は正しいと思います。


 ええ運が悪いのです。


 認めてくれない、他人が悪いのです。




 ですが、だからどうした?




 それを嘆くことは構わない。無力さに打ちひしがれても構わない。


 ただし認められない責任は、自分で負う。


 ゼロサムゲームな世の中です。


 配られたパイの数しか、与えられるポストはないのです。


 そこに挑戦したいのであれば、呪詛を吐きながら、血反吐を吐きながら、自己を高めるしかないのです。


 注目されるための戦略も、トリッキーなやり方も、すべてそれは才能のうち。


 努力と行動の結果、認められる運を蓄えていく。


 それを続けていけることが、一種の才能であるのかもしれませんね。




 こんな毒にしかならないような想いを撒き散らしてしまうほど、面白かったです。


 もうすでに疲労困憊ですよこんな大作を読まされましたら。


 ええ、やる気、また出ました。


 ありがとうございました。


 よし、デレステやって休憩だ(……)。

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