背徳感

 我が邪悪さは我が存在意義すら歪める。

 次に邪悪さを発揮した時に、世界は滅ぶかもしれない。


 私は邪なる風を呼びつけました。

 その風は痛みと冷たさをまとい、降臨します。生きとし生けるものを蝕んでいく悪しき存在です。

 邪神に相応しいものを召喚をしたと言えるでしょう。

 しかし、私には手に余る存在だったのか、私の喉が灼熱の痛みを覚えます。

 人間界の言葉で例えるなら、風邪を引いたと言えるでしょう。

 まさに邪なる風(風邪)というところでしょうか。

 ……いろんな意味で寒いです。このままではいけない。私の生命が脅かされます。

 手洗い、うがい、と基本的な事をやっていきます。

 その甲斐あってかだんだん調子は良くなります。


 これで私の邪神活動は復活する! そう確信していました。


 今度は母が咳をしています。体調が悪いと訴えています。


 邪なる風の悪しき行いはとどまる事を知らないようです。

 私は焦りました。これではいったい誰が晩御飯を作るのか!


私「早く寝て、早く良くなってね」

母「気持ち悪くて寝られない」


 一大事です。

 晩御飯の心配をしている場合じゃないのかもしれません。

 病院へ行くのは頑なに拒む母。自宅療養に期待するしかありません。

 私の悩みは尽きません。

 今夜のご飯はどうしよう、母はどうしたら回復するのか。

 しばらく考えました。

 しかし、結論は出ず。とりあえず、風呂に入って頭のリフレッシュをはかります。

 風呂にお湯をためて、着替えを用意します。

 その間にちょっと嬉しい事が!


 母が寝ています。

 きっと回復する兆しです。


 私は安心しました。寝る子は育つと言いますし、元気になるのも近いでしょう。

 しかし、ここで一つ問題が。


 寝ている母が、私のバスタオルを下敷きにしています。


 日頃の寝不足もあるでしょう。起こすのは非常に申し訳ないです。

 しかし、バスタオルがないと風呂に入った後に困ります。

 私は十分ほど悩みました。

 そして、他の人のバスタオルにそっと手を伸ばし、風呂へ。


 背徳感MAXな気分でした~。

  

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る