衝突

「ひゃあ!」

 キッチンから香帆の悲鳴じみた声が響く。

「……おい、今度は何だよ?」

 湊は耐Gシートにどっしりと腰を落ち着け、目はメインディスプレイに向けたまま、つまるところ全く心配する素振りも見せず背後に問いかけた。

 香帆が臨時の押しかけバイトクルーにおさまってから、ここ数日の間にあげた悲鳴の回数はすでに二ケタの大台に乗っている。

 最初こそ湊もあわてて駆け付けたのだが、その理由が毎度毎度あまりにもどうしようもないので、もはやいちいち驚く気力も沸かなくなってきていた。

 無重力シュラフがベッドがら浮きあがってしまい、船がデブリ回避のためオートスラスターを吹かした途端に床に落下した、だとか、0Gトイレやシャワーの使い方が判らずずぶ濡れになった、だとか。

 地球~サンライズコロニー間を往復する定期連絡フェリーが、軟弱ヤワな2G加速と1G減速の組み合わせで加速度と無重量状態を最小限に抑えるという快適、かつまことに不経済な航法を採り入れて以来、若いコロニー移民の中にも無重力トイレやシャワーを知らない人間が増えているのはまあ確かだ。

 考えてみれば、そもそも無重量状態を経験するチャンスがない。可哀想ではある。

 だが、現実問題として、宇宙開発の最前線人材育成を担う学校に在籍し、しかも船舶設計科で学んでいながら、それらの装備をこれまで見たことも使ったこともないと言う香帆の言い分にはどう考えても違和感が残る。

 そのあたりが妙に気にかかった湊は、昨夜、彼女が寝静まった頃を見計らい、こっそり古巣でもあるサンライズ技工大の学生名簿にアクセスしてみた。

 学生時代に使っていたアカウントがまだ生きているのにまず驚いたが、さすがに現役生向けの無制限アクセスキーを手に入れる事はできなかった。それでも、関係者向けに限定公開された在学生名簿上には確かに高等部二年に〝K/TOKUTOME〟の記載がある。

 加えて学籍番号が今年入学の新入生よりさらに新しいところを見ると、ごくごく最近になってどこか他の学校から転入した可能性が高い。

 だが、名簿からわかったのはただそれだけだった。

 香帆は何かを隠している。それはまちがいないと湊は確信している。

 だが、一体彼女がなんの目的でこの船に乗り込んできたのか。その本当の理由はまだ推測さえ出来ない。彼女は自分自身の事はほとんど話題にしようとしないからだ。

「ねえ……」

 そんな物思いにふけっていた湊は、背後から遠慮がちに呼びかけられてふと我に返った。

「えっ?」

「先輩、これ、飲んでみる?」

 そう言いながら彼女は神妙な表情でマグパックを差し出した。中にはクリーム色のとろりとした液体が入っている。受け取ってみるとほどよく温かい。

「お、気が利くなあ、ホットミルクでも作ったのか?」

 口をつけてみると、異様に甘ったるい粘り気のある液体がのどに流れ込んできた。しかもバニラの香りがする。

「ぐふぉっ!」

 予想のななめ上を行く食感に思わず吹き出しそうになり、香帆の冷たい目線を受けてどうにか耐える。

「何だよこれっ!」

「確かにジェラートだったのよ。ほんのさっきまでは……」

 香帆は肩をすくめてため息混じりに言った。

「食後のデザートにしよっかなってパーシャルに入れたはずだったんだけど、なんと驚くことにそれが実はレンジだったの」

「あー、お前これは『パルクフェルム』の限定品だぞ! うわー! あー、全部溶かしちゃったのか!」

 湊は思わず色を失った。

「くっそー! 二時間並んだんだぞ、しかも高いんだぞこれ。うわ、なんちゅうもったいない事を。普通そんなミスするかぁ?」

「だってぇ」

 香帆は頬を膨らませる。

「レンジもフリーザーもパーシャルもみーんな同じ見た目なんだもの。並べて置いてあったらふつう間違えて当然だと思わない?」

「あれは業務用の規格品! 自由にレイアウトできるようにわざわざモジュール構造にしてあるんだって。積載スペースのきつい宇宙船に積むんだからあたりまえだろうがよ!」

 香帆は判ってないなあと言うように首を振ってみせると「ちっちっち」と口で効果音をつけて人さし指を左右に振り、それをズバリと湊に向けた。

 何気にむかつく動作にイラッとした表情を見せる湊に対し、

「その考えはおかしいよ、先輩。使う人の立場に立って考えてないじゃない。こんなすごい船を設計できるくせにその程度の規格品で満足してるなんでがっかりね」

 そう言い放つ。

「うっ」

 湊は一瞬言葉に詰まった。確かに、一度はシップビルダーを目指した人間としては配慮が足りないかも知れない、が、なぜ学生にそこまで言われなくてはならないのか。少々自分が情けなくなる。

「ま、いいわ。それよりこれ、どうしよう?」

 香帆は再び小さく肩をすくめると、湊の手のマグパックを指さした。

「悪いけどこれじゃあ飲めないな。さすがにこれは甘すぎる。せめて水で薄めるか……いやいやせっかくのパルクフェルメがもったいない」

「ふーん、先輩って意外とミーハーだったんだ。さっき並んだって言ってたよね」

 ニヤニヤする香帆。

「んな事どうでもいいだろう! それよりもう一度フリーザーに入れたらなんとか元に戻らないか?」

「でも、それじゃジェラートじゃなくてシャーベットになっちゃうよ、多分」

「それってどこか違うのか?」

「えっ!」

 香帆の目が点になった。芝居じみた動作でよよよと後ずさる。

「せ、先輩。もしかしてそんな基本的なことも知らずに今まで何十年も生きてきたんですか?」

 離れた場所からまるで新発見の珍獣を見るような目で湊をにらみつける。

「そんなに深刻な話かよ? それにそこまでジジイでもない!」

「ふーん」

 反論はあっさり無視される。

「それよりも、ねえ、かなり、いえこれって致命的よ。いい、そもそもジェラートていうのは適度に空気を含んだそのやわらかな舌触りこそが命なの。シャーベットとの最も大きな違いはそこにあって、そもそも十六世紀、地球の地域国家イタリアはフィレンツェでジェラートが最初に発明されたきっかけからして……」

 湊は内心思わず舌打ちをした。なんだかつまんないスイッチを押してしまったらしい。香帆は自分の正体については完全黙秘を貫くくせに、妙な所で雄弁になる。

「……ちょっと、先輩。話聞いてないでしょ」

 そんな彼の考えを見透かすように香帆はまゆをつり上げだ。

「あ、いや、それより早くそいつをもう一度凍らせろって。たまにはシャーベットが食べたいなと思ってたんだ」

 苦しい。苦しすぎる言い訳。

 だが、香帆はその答を聞くとなぜかくすくす笑いながら講義を一方的に切り上げ、マグを持って上機嫌でキッチンに消えていった。

「こりゃ、当分退屈だけはしないわな」

 湊はつぶやくと、思わず大きなため息をついた。このフライトで一体何度目のため息だっただろうか。

 

 そんな船内の状況にはお構いなく、アローラムは最大速で矢のように飛び続ける。

 それでも、目的の小惑星トロイスに向けての行程はまだ半分あまりを残していた。


 かすかな物音で湊はふと目覚めた。

 コクピットの照明は最低照度に絞られ、観測窓から差し込むかすかな星明かりとディスプレイの淡いバックライトだけが室内をほの青く照らし出している。時計表示は地球標準時の午前二時。

 なぜこんな時間に目覚めたのかとぼんやり思い、正面のマルチディスプレイに開いたままの3Dモデリングデータが目に止まる。

 どうやら、作業の途中で眠りこんでしまったらしい。

 はっきりしない頭のまま観測窓に映る星空をしばらくぼんやり眺めていた湊だが、ほったらかしの図面データを保存しようとしてふと、人の気配に振り向いた。

「あ、ごめん、起こしちゃった?」

 香帆が申し訳なさそうな顔で背後からのぞき込んでいた。先ほどのかすかな物音は与圧ドアの作動音だったようだ。

「なんだ、眠れないのか?」

「ちょっとね。変な時間に目が覚めちゃって、それから寝付けないの」

 香帆は言葉を切ると、表示されたままの図面データにさりげなく視線を落とした。 

「あ、それ、クルーザーの図面でしょ?」

「ああ、七十トンクラスの小型艇さ」

「ふうん」

 香帆は小さく頷いた。

「ね、コーヒー飲む?」

「ああ、頼む」

 香帆はそのままキッチンに消えた。その間に湊は耐Gシートを起こし、描きかけの図面を改めてチェックすると、保存して三次元CADのアプリケーションを終了させた。

「はい、これ」

 マルチディスプレイが通常の航法システム画面に復帰したタイミングで、香帆が2本の無重力マグにコーヒーを満たして現れた。

「あれ、なんだ。もう消しちゃったの?」

 言いながら隣のシートに腰を下ろす。

「もう少しゆっくり見たかったな」

「……悪いけど、人に見せられるような代物じゃないんでね」

「お願い! もう一回だけ見せてもらえないかな?」

「だめだ」

 湊は大きく首を横に振った。香帆はしばし物言いたげな表情で彼の顔を見上げていたが、やがて小さなため息をついて正面に向き直った。

「……でも、よかった」

 しばらくの無言の後、彼女が小さなつぶやきを漏らした。

「え?」

 思わず聞き返した湊。だが、香帆はすぐには答えず、シートを大きく倒して天井の観測窓にチラチラと視線を泳がせている。

「シップビルダー、あきらめた訳じゃなかったんだ」

「え?」

 思いがけない香帆のセリフにどきりとした。自分から何かそれらしいことを話した記憶はない。

 だが、当時はニュースにもなった事件だ。これだけ自分の周りをかぎ回っている娘なら、何か知っていてもおかしくはない。しかし…

「あ、いや……」

 結局あいまいにはぐらかした湊は、何か物言いたげな彼女の興味を他に逸らそうと、天井の対放射線シールドを全開にした。観測窓は大きく左右に割れ、透明なハイパーメタクリルの天井一面に満天の星空が広がった。

「わあ! きれい!」

 香帆はそれきり息を飲んだ。彼女も外惑星軌道での星空は初めてだろう。

 湊も香帆にならってシートを目一杯倒すと、しばらくは無言で星空にのめり込んだ。

 こうして、外惑星軌道でぼんやりと眺める満天の星空が彼は好きだった。

 ここまで遠ざかってしまうと、さすがの太陽もその圧倒的な明るさを誇示することはできない。

 だが、その分漆黒に近い宇宙には、肉眼でも地球軌道で見るよりはるかに多くの星々を数える事ができるからだ。天の川の迫力も地球近傍で見るのとは段違いだ。

「……ここから見る宇宙はちっとも寂しそうじゃないね」

 香帆が星空に手のひらをかざしながらしみじみとつぶやいた。

「寂しい? どういう意味で?」

「だって、コロニーで見る星空はここまで賑やかじゃないもの」

「ああ、地球が圧倒的に明るすぎるから。暗い星はほとんど見えないだろうな」

「星の見えない寂しい星空ばかり眺めていたら、人類は広い大宇宙でやっぱり孤独なんだなって思うじゃない。でも、ここで見る豪華な星空ならそんなメランコリックな気分にはならないよね」

「……まあな。でも、確か何年か前、実際に宇宙人の物らしき遺跡が見つかったって聞いたけどな。火星の近くで。けっこうな大騒ぎになったじゃないか」

 湊は遠い記憶を掘り起こしながら答える。

 彼が当時所属していた小型船舶設計チームに、遺跡発掘の発端となった遭難事故の調査と後始末が命じられ、結構大変な思いをした印象だけが残っている。

「でも、あれっきりね。未だにほとんど解読が済んでないなんて、サンライズの考古学者は昼寝でもしてるのかしらね」

「考古学? あーいうのはどっちかと言うとコンピュータ屋か言語学者の仕事だろ。考古学者がなんでここに出てくるんだ?」

「知らないの? 昔から遺跡探しと暗号解読、絶世の美女と共に命がけの大冒険っていうのが考古学者の宿命なのよ。発見者がイケメンで名前がジョーンズ博士だったらぴったりなんだけど」

 香帆は大きな瞳をきらきらさせながら自信満々に断言した。

「……ああ、そう。残念だけどインド人じゃない。確か発見者は日本人、しかも若い女性だったはずだぞ」

 湊は香帆の唱える超論理が今一つ理解できなかったが、それ以上突っ込んで議論するつもりもなかったから適当にあいづちを打つ。ところが香帆はそれが気に入らなかったらしい。ため息交じりにシートから体を起こすと、ふくれっ面でこちらをにらみつけた。

「ちょっと! インディアナ・ジョーンズはインド人じゃない――」

 前世紀のレトロムービーに女子高生が食いついて来たのは正直驚きだったが、いずれにせよ漫才めいたやり取りをそれ以上先を続ける事は出来なかった。

 まるで香帆の抗議を遮るかのように、突如大音量のアラームがコクピットに響き渡ったのだ。

「何?!」

「衝突警報だ!」

 湊は慌ててはね起きるとメインディスプレイに近距離レーダーを三面表示する。本船三時の方向、斜め下方から微小惑星が二つ、相当な高速で接近している。このまま直進すれば約八秒後には軌道が交差するだろう。だが、自動回避装置がワーニングランプを点滅させ、機械任せの穏やかな自動回避ではとうていよけきれない事を警告していた。

「おい、シートベルト締めろ!」

 わたわたとシートを起こす香帆に向かってそう怒鳴った湊は、自動操縦を解除すると同時に船首スラスターの噴射ペダルを両足で思い切り踏み込んだ。

「きゃあ」

「喋るな!舌かむぞ!」

「……もうかんだぁ!」

 だが、減速バーニアの出力程度では到底間に合わない。サイドスラスターのペダルを踏み抜く勢いで蹴り飛ばし、船体姿勢を百八十度反転させると、今度はコントロールスティックを目一杯引き絞る。強引な機動にキールが悲鳴をあげ、発泡ハイセラミックの船殻がミシミシと不気味にきしむ。

 ギリギリまでチューンされた多段ターボポンプがうなりを上げ、ノズルが張り裂けんばかりの超高圧で燃料をメインエンジンに送り込む。内圧計の表示がギュンと跳ね上がり、とんでもない数字を表示したかと思うと不安定に明滅してふっと消えた。

 どうやらセンサーの測定限界を越えたらしい。

 次の瞬間、エンジンはほとんど爆発に近い強烈な噴射を開始した。

「ぐぅっ!」

 あらかじめ覚悟を決めていた湊自身、猛烈な加速Gに目がくらむ。

 隣の香帆の様子が気になるが、顔を横に向ける事すら難しい。視界がゆっくりと闇に変わる。

 ブラックアウト。脳みそが何かに絞り取られるようだ。

「うー!」

 狭まりつつある暗い視界のすみでディスプレイを確認する。小惑星のコースは自機位置とほとんど重なっている。

 これでは間に合わない!

 湊は本能的に体ごと倒れ込むようにスティックをなぎ払う。

 船体がぐいっとロールし、今度は視界が真っ赤に染まる。やばい!

「ううっ!」

 香帆が苦しそうにあえぐ。

 ガンッ!

 すさまじい衝撃音。まるで横っ面をバットで殴られたような強烈なショックが船全体を襲い、同時に船体が猛烈にスピンしはじめた。

 エンジンの爆発を疑った湊は慌てて燃料をカットする。すぐに機動Gは消え、同時に狭まっていた視界がひどくゆっくりと回復する。

 目をこらして見ると、ディスプレイには粉々に分裂し、てんでばらばらに回転しながらすでに遠ざかりつつある小惑星の姿。

 だが、船体の複合スピンがなかなかおさまらない。どうやら自動姿勢制御ユニットのオーバーロードらしい。

 湊はくらくらする頭を振りながらピッチ、ヨー、ロールと順にスラスターを踏み込み、回転を抑えようとした。最初の修正は無残に失敗。スピンはおさまるどころかなおさら激しくなった。

「うえ、気持ち悪い」

 だが、こみあげてくる吐き気を抑えながら何度か小刻みな修正を繰り返すうち、回転は次第に単純な一軸スピンに落ち着いてくる。

 不意にリミッターが自動解除され、船体の揺れは嘘のようにふっとおさまった。

「ふうっ」

 湊は大きく息を吐き出した。

 ほんの十数秒の出来事だったにもかかわらず、船内服は汗でぐっしょり濡れていた。頭の芯がががんがんとうずき、額の汗が目に流れ込んでちくちくとしみる。

「おい、大丈夫か?」

 各種アラートが軒並み点滅のほとんどクリスマスツリー状態のコンソールを一べつし、まずは隣の香帆に声をかける。が、気を失っているのか、ぐったりと顔を伏せたまま身動きすらしない。

「おい、生きてるか?」

 右手を伸ばして肩を揺する。

「う、ううん……死んだ」

「大丈夫か? 怪我とかしてないか?」

 香帆はゆっくりと顔を上げ、充血した恨みがましい目つきで湊の顔を見つめる。

「……酔ったぁ……気持ち悪い。吐きそう。頭が痛い、首も痛い、舌かんだ~!」

「悪かったよ。でも、それだけ言えればまず大丈夫」

 湊はとりあえず香帆のへらず口の健在にほっとすると、コンソールの一斉復帰ボタンを叩く。

 だが、いくつかの警告灯は点滅したままで残った。

「一体何なの、あれ?」

「ああ、未登録のはぐれ小惑星だと思う。この座標だと一応アポロ群系列になるのかな。小さいものはディープスカイサーベイでも見落とされがちだし、今でも時々はあるんだよ」

 香帆の弱々しい問いに答えながら、湊はリセットの効かないアラートを一つ一つ確認してみた。

 右舷第一エンジン油圧警告

 右舷船殻ひずみゲージ

 第二酸素タンク圧力ゲージ

 サージタンクエンプティマーカー

 レーザージャイロ動作不良警告

「む!」

 やたらに右舷側の異常が多い。湊はかぎりなくいやな予感を感じながら、右舷の船外カメラで外側から直接異常を確認しようとした。だが、ディスプレイには一面のホワイトノイズ。こんなものまで不調だ。

「なあ、もう立てるか?」

「いたた……っと、なんとか」

 顔をしかめ、首を押さえたままで香帆が答えた。どうやらむち打ちもくらったらしい。

「悪いけどキッチンの舷窓から右舷の船殻を確認してくれないか。なんだか様子が変だ」

「う、うん。ちょっと待って…」

 香帆はそう言い残すと首を変な角度に曲げたままでふらふらと立ち上がりキッチンに消えた。その間に湊は改めてエンジン系統のチェックプログラムを走らせると、そのレポート内容の深刻さに思わず背筋が寒くなる。

「きゃあっ〜!」

 香帆の悲鳴じみた叫びが冷酷な現実をはっきりと裏付けた。

「右っかわのエンジンが、ないよ~っ!!」


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