第9話 男の正体
「魔王シルヴァだ」
ニックには目の前にいる銀色の髪の男の言ってることが理解できずにしばらく思考が停止していた。
だが、ゆっくりとその思考は元に戻っていく。
「ま……おう……?」
思考が戻っても理解できない。
この人は何を言っているんだ。
ニックの後ろにいるリナも目を大きく見開いてパチクリさせていた。二人とも男の言ってることに理解が追い付いていなかった。
シルヴァは、無表情のままニックを見つめさらに衝撃の一言を口にする。
「そして、お前の使い魔だ」
「……」
再度、思考が停止する。
やばい、頭パンクして死にそう。
ニックは、ゆっくりと深呼吸をして恐る恐るシルヴァに確認をとる。
「じょ、冗談ですよね……?」
「は? 冗談でこんなこと言うわけねーだろ。お前の手首のそれがその
そう言ってニックの左手の手首を指を指す。
ニックは、慌てて自分の手首を確認する為に汚れた制服の袖をめくる。すると、そこには手首を一周して白い鎖のような模様がついていた。
「なっ、なんだこれ!?」
必死にその模様を擦るが消える気配がしない。
「消えねーよ。それが俺と契約してる証なんだからな」
「契約って……それは、ありえないですよ! 僕には、使い魔を一人で召喚する魔力もないんですよ? そんな僕があなたを……魔王を召喚できるはずなんてない!」
そうだ、ロゼリア先生だってそう言っていた。僕に召喚できるのは精々ネズミ程度だと。
「それに、まず使い魔って動物とかが召喚されるんじゃないんですか? なのに魔王って──」
「そんなもん俺が知るか。俺だって正直気に食わねだよ。魔王である者が人間なんぞの使い魔になるんて」
シルヴァは、つまらなさそうにそう言って頭をボサボサと掻く。
「ともかく、俺はお前に召喚された。それは、事実だ」
「そんなことって……」
少し顔を下げると急に視界がぼやけ始める。
目の前がゆらゆらと歪んで見える。
ニックは、頭に手を当てて必死に耐えようとするがそれが
「あれ……?」
地面が波を打つように揺れてるようにニックは感じた。自然と体が揺れる。
「ニ、ニック?」
後ろにいたリナが声をかけるがニックには全く届いていなかった。
そして、ニックは地面にゆっくりと倒れた。
「ちょ、ニック!!」
リナは、ニックの側まで来て大声でニックに声をかける。シルヴァは、少し離れたところでため息を一つついていた。
まだ、
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