第31話 いい正月を迎えられそう
気を落ち着かせ、エンジンをかけ、家へ帰りました。
妻に今日の出来事を一通り話しました。
妻が「あと、準備するものは」と言い、普段着ていた私服を準備するよう言われたことを話し、「パジャマとかでなく、そのまま寝ても良いような物の方がいいらしい」と言うと、「取り敢えず実家で探してみる?」と言うので、「休みに入る、28日に行こか」と言って話を終えました。
翌日27日、仕事納めし、28日、朝から実家へいきました。
普段着ていた、ジャージ的なものがいいだろうと探しました。
しかし、まともなものがありません。
中には、そのまま脱ぎ捨てたままではと思う物や、こんなもの着ていたのかどうかと思うものなどばかりで、使えそうなのは一組程でした。
改めて、入院前の生活が、相当すさんでいたのだろうと思わざるを得ませんでした。
そして、探すのを諦めて、買いに行く事にしました。
価格の安い衣料専門店へ行き、スエットの上下セット的な物を数点身つくろいましたが、一つ厚手の紫色のポロシャツが有り「これ、おかんよう着てた感じする」と妻に言うと妻も「ほんまやな、これ買っとか」と言って単品でかいました。
早速施設へ持って行きました。
最初私は、先日のおかんの状態のこともあり、妻に先に行ってもらいました。
昼食の時間のようで、ちょうどヘルパーの方と部屋に戻ってきたところでした。
おかんに「服持ってきたから」と言うと、「まあ、うれしいよありがとう」と機嫌よく喜んでいたので、ひとまずホッとしました。
そしておかんは、「着替えしよう」といって服を選り出して、「これええ」といって取り出したのが、あの紫のポロシャツでした。
ヘルパーの方が「あとでしよう」と言うのも制して、着替え出しました。
案の定おかんは、家に帰るつもりなのです。
これ以上いたら、帰る言い出しそうなので、あとはヘルパーさんに「食事に連れて行ってください」とお願いし、服を持ってきたことを、事務の方に伝えかえりました。
取り敢えず、直ぐにすることはこれで終わりました。
妻はあと何か無いか心配しておりましたが、「あとは正月あけてからでいい、とにかくこの年末年始は何も考えずにゆっくりしよう、おかんも施設で、いい正月をできるから」と言いました。
当初は、先の老健施設に入所か否かでまともに正月などできないだろうと思っていましたので、まさに夢のようでした。
そして、この28日のことは、後に重要な日となろうとは、この時は全く考えつくことではありませんでした。
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