第20話 退院そして入所

申し込みを終えた後は、ただ回答を待つのみです。

おかんの方は、特に変化もなく、相変わらず、連れて帰れといいますが、話をそらすのに苦労するといった状況でした。


数日が過ぎ、仕事からの帰宅中電話が鳴りました。

施設からです。

一瞬ドキッとしながら、直ぐに車を停車して、電話に出ました。

担当の方からでしたが、何となくトーンが低い感じがして、いい知らせではないのかなとも、一瞬思いましたが、内容は、「面談し、入所不可ではないのですが、治療状況や、また高齢であることなどを考慮すると、長期入所出来るか分からないことと、仮に出来ても、病状が悪化し、病院で治療が必要となると、その時点で、退所となることなど、承知していただけますか」と言うことでした。

当然、「承知します」と返答しました。

「じゃあそう言うことで、所内で協議して連絡します」とのことでした。


話のイメージから、あまり気が進まないような所も感じられ、もしかしたらまた断られるではと言う気持ちにもなり、取り敢えず妻にもこの状況を伝えました。

しばらく重苦し感じが続きました。

翌日でした。

施設から電話があり、「入所が決まりましたので、いつ移動しますか」とのことでした。

心のやったあと思いながら、「ありがとうございます、最短でいつ可能ですか」と聞くと「26日可能です」とのこと。

当然平日ですが、担当者の方は、「特に立会いは必要なく、こちらでやっときますよ」とのことでしたので、「それでお願いします、仕事終わり次第伺います」と言って電話を切りました。

妻にも直ぐに報告し、安心させました。

理解出来るかどうかわかりませんが、一応おかんにも言っておこうと思い、仕事帰りにおかんの所へ行きました。

おかんに「こないだ、お兄さんが話聞きにきたやろ」と聞きましたが、やはり覚えていません。

そして、「ここは退屈やから、色々できる施設に入れる様にしたから、その人迎えに来るからな」と言いました。

おかんは、「そんなとこ行けるんか」と言ってちょとうれしそうにしました。

まあ覚えてないかもしれませんが、どうしようないので、これでよしと自己満足して帰りました。


そして当日を迎えました。

施設からも、問題なく移行できたとの連絡がありました。

ついに、約2カ月半の入院を終え、施設への移行ができました。


これより後半、当分安泰やなあと思ったのもつかの間、そう簡単には行かなかったのでした。

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