陽炎

夏の暑さより

強すぎる思いが

心を茹らせた


不安を

言葉の奥に隠して

無理矢理

飲み込むのは

怖いから


私はいつか

消えてしまう

あなたの中から

この場所から


きっと

そんな日が来るのだと

思ってしまうのは

私のせい


ひどく臆病で

不安で

時々

宇宙で

たったひとり

浮かんでいる

そんな気がする


気づいてるよ

灯りが

遠くに感じるから

本当はね

すごく怯えてる


だけど

掴もうと

手をのばしかけて

目に映るのは

腕のない肩


あなたは

触れようとしない私を

いつか

嫌いになる?


言葉が

私の手

体温


だけど

あなたを

抱きしめられない

腕のない私が

言ってはいけない言葉


もう何度も言いかけて

無理矢理

呑み込んでいる


もしも本当に

あなたの中から

消えてしまう日が来たら

どうなるかな

考えたくないけど

多分

どんなに泣いても

出会えたことを

後悔なんてしない


だけど

それでも

やっぱり

いやだよ


もしもこの瞬間

宇宙から消えるとしたら

きっとあなたの名前

呟いてしまう


嫌になるほど

自分勝手だけど

腕がなくてもいいよって

不安はただの陽炎だよって

笑ってほしい

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