3

 教室はざわめいていた。昨日とは全く違う雰囲気に気後れする。日常が戻ってきたと安堵したかったが、それは幻を見ているかのように儚く散りさっていった。違う、日常なんか戻ってきていない。むしろ、ここから始まっていくのかもしれない。


 空席が目立つ教室で、大河はそんな最悪を想像していた。


 今朝のニュースから、木村綾子が何者かによって殺されたと報道された。ネット上

にアップされた首のない遺体も木村綾子のものだと判明し、NISEMONOが自分たちの周りに紛れ込んでいたことが揺るぎない事実となった。ニュースの中で、直接NISEMONOという言葉は使われず、ネット上で流行していることと類似しているため、などと曖昧に表現された。その余計な配慮がNISEMONO陰謀説の色をより一層強め、ネット上を賑わせていた。


 結局、犯人の特定も上手くいっていない。昨日、父のそんな愚痴が聞こえてきた。珍しく苛立っている父を見て、今回の一件はとてつもなく難解なものであると感じた。


 大胆なことをしている割には、何一つ事実として浮かび上がってこない。今、わかっていることといえば、NISEMONOがこのクラスに紛れていたということしかない。


 ネットで情報を集めようとしても、これだけNISEMONOの情報が日本中に蔓延していると、核心をついた情報は奥深くに埋まってしまう。正直なところ、打つ手がなかった。


「それにしても、昨日とは全然教室の雰囲気が違うよなー」

 陸斗は愚痴でもこぼすかのように言った。


 大河はすかさず頷く。一人一人の声や仕草が大河の神経を刺激する。この光景を見ていると、もうすでにここにいる大半はNISEMONOなのではないかと思ってしまう。どこか繕っているのではないか。そう、疑心暗鬼になる。


「なんで、こんな雰囲気か知りたいか?」

 蓮は得意気に言った。彼が自称、情報屋と謳っているだけあって、大河たちが知りえないことまでよく知っている。実際に、昨日の情報は的確で真実だけを伝えてくれた。彼は信じても良い人間の一人であることは間違いない。


「そのドヤ顔はうざいけど、気になるから教えてくれ」

 陸斗は腕を組みそう言った。

 蓮はいつものように中指でメガネを上げてから話し始める。


「実はですね……このクラスに転校生がやってくるんだよ! しかも女の子」

 蓮の声のトーンが次第に高くなっていった。陸斗もそれを聞いて、目をきらきらと輝かせている。こいつらはどうして、こうも簡単に。


 大河はどこかで期待していた。また、NISEMONOに関しての情報が聞けるのではないかと。あの父でさえ翻弄されている未知の存在への手がかりは喉から手が出るほどほしい。


 そんな大河の思いとは裏腹に、陸斗と蓮は転校生の話題をヒートアップさせていた。

 

 大河は少し呆れて、ふと無意識に視線が美咲の席に向いた。そう、気付かなかった。三十人ほどの人間がこの密集した空間に押し込められると、どうしてもどこかに盲点ができる。


 まさに、そのことを改めて感じた。

 いつも誰も座っていなかったその席に艶やかな黒髪を靡かせた美咲は座っていた。彼女が今日から学校に来るとは聞いていない。いずれ――行くことになるかもしれない。昨日、彼女はそう言っていた。

 

 だから、思わず驚いてしまった。不登校という壁は本当に彼女にとって、水たまりを避けるほどどうでもいいことだったらしい。


「大河だろ、連れてきたのは」

 後ろからそんな声が聞こえてきた。大河は振り返り、眉間にしわを寄せる。


「蓮はどこまで知っているんだよ」

 彼はその言葉を待っていたというばかりに、笑顔を浮かべ、こう言った。


 知り得ることができるものは全て知っている、と。

 この言葉がどれほど大河にとって、頼もしかったかは言うまでもない。彼だけはNISEMONO側に取られるわけにはいかない。まあ、もうすでに彼がNISEMONO側についていなければの話だが。


「でも、少し来るタイミングが悪かったかもね」

 いつの間にか転校生の話題はきれいさっぱり消えていた。陸斗も複雑な表情で美咲を見つめていた。


「つまり、どういうこと?」


「大河ってたまに天然だよな」

 陸斗はそうそうと笑って相槌をうつ。

 大河は不機嫌そうに二人の顔を交互に見て、腕を組んだ。


「じゃあ、そんなしっかり者の陸斗さんはどういう意味かわかってるんでしょうね?」


「いや、知らないよ」

 陸斗の言葉に蓮がおいと突っ込んで、三人で笑う。こういう日常が当たり前だと感じるのは、非日常的な何かが起きた時だからこそ感じるのだろうなと大河はふと思った。だって、今の今までこうやって三人でいることに何も思わなかったのだから。


 そう考えれば、NISEMONOという存在はある意味よかったのかもしれない。当たり前ではなくなれば当たり前を知る。昨日の一日でその感覚を存分に感じ、現実的に不登校の彼女を学校にまで連れ出してきてしまった。

 

すごいな、NISEMONOって。


「そんで、タイミングが悪いってどういう意味?」

 陸斗は蓮の方に手を広げ訊いていた。


「ああ、それね。ただ、転校生が来るタイミングに被って、話題にあまり上がらないから可哀想だなって思っただけ」

 蓮は遠くを見つめるような目で言った。大河はそっちのことなのかと蓮の横顔をずっと見つめてしまった。てっきり、NISEMONOに疑われるかもしれないタイミングでという意味かと思った。いや、自分も美咲に言われるまでそのことに気付かなかったから、いくら物知りな彼でも、そこまでは読めなかっただけなのだろう。


 それにしても、美咲がこうやって自然に混ざれているということは、綾子の周りにいた人間が不思議と今日来ていないということだ。これは果たして偶然なのか、それとも――必然だったのか。


「はーい席に付けー」

 担任教師の間の抜けた声も今日は特別に感じた。いつもの強制された静寂ではなく自分達自身から作り上げた静寂に包まれていた。誰もがNISEMONOのことなんか忘れて、転校生への好奇心に駆られている。


 そんなまやかしに取り憑かれていたことやその聞き慣れていたフレーズによって、担任教師の何気なく放たれた言葉に対して、それほど深く気に留めなかった。


 良い知らせと悪い知らせがあるから、よく聞くように。

 それを聞いた陸斗は小声で、「また、小テストだろうな」と言った。

 大河も小声で「だろうね」と答え、苦笑いを浮かべる。


 そう、おそらくクラス全員が良い知らせの方は転校生の話で、悪い知らせの方は担任教師が受け持つ数学の授業で突発的な小テストを行うというアナウンスだと思っていた。

 

 けれども、それは半分正解で半分間違いだった。いや、人によってはどちらも不正解だったのかもしれない。

 

 まずは、良い知らせの方から伝えられた。

 担任教師に手招かれ、教室に入ってきた女の子は眼鏡をかけていて地味な印象だった。頬は薄らとピンク色で、背丈は美咲と変わらないくらいだろうか。ここまでは、問題なく高揚感に溢れた雰囲気を保っていた。


 でも、担任教師から転校生の名前を告げられたとき、万華鏡のように教室の雰囲気は一変した。


 ――彼女の名前は、六田奏子さんです。

 教室中がざわめいた。あちらこちらから、なんであいつがとか、まさかという声が聞こえてきた。そして、好奇心の眼差しを受けていた転校生は、差別の対象として様変わりしていく。


 大河はその空気を察知したけれども、何が原因かまでは見当がつかなかった。特

別、その名前に嫌な節は思い当たらない。

 だから、大河は思わず情報屋を頼ってしまった。


「蓮、この状況はどういうこと?」

 大河は口に手を当て、小さな声で尋ねた。


「えっ? 大河何言っているの。あいつは三年前に……自分の家族を殺したやつだよ。大河だってよく覚えているだろう……仲良かったわけだし」

 怪訝な表情を浮かべる蓮に、大河は慌てて話を合わせる。


 大河もその三年前にあった事件のことはよく覚えていた。でも、六田奏子という人物も、三年前の事件と彼女が繋がっているということも、初めて聞かされたことだった。さらにいえば、仲が良かったなんて事実は大河の中にはない。


 どうして、忘れてしまったのだろうか。大河は彼女が目の前に現れたことよりも、自分の欠落している記憶があることに驚きを隠せなかった。


 大河と同様に状況を飲み込めていない生徒は数人いたが、それはどれも大河たちが通っていた中学校とは別の中学校から来た生徒ばかりで、意味合いがまるで違った。


 彼らは知らなくて当たり前であるが、大河は知っているはずなのに知らなかった。しかも、綺麗さっぱりとだ。


 大河は深呼吸をする。さっきまで感じていなかった胸の鼓動が急に意識に上る。どうやら、記憶にはなくても身体には染み付いているようだ。確かに、六田奏子という人物に拒否反応を起こしているようだった。


「じゃあ、六田、黒沢の隣が空いているから席はそこな」

 担任教師の操り人形のように奏子は空いている席へと歩む。


 クラス中からの差別の眼差しを受けても、微動だにしない彼女の態度は不気味なものだった。まるで人間とは違う生物が中に入っているようなそんな雰囲気がある。


 奏子は大河の横を見向きもせず通り過ぎていく。彼女の横顔を見てもなお、記憶にかすめるものはなかった。


 本当に自分と彼女は仲が良かったのだろうか。どうも大河の中でしっくりこなかった。


 さて、仕切りなおしただというばかりに、担任教師は手を叩く。クラス中の視線が奏子から担任教師へと移る。


 次に悪い知らせの方を伝えられた。


 こちらの話題に切り替わった瞬間、どうせ知っていることだからと真剣に耳を傾けている生徒は少なかった。それに、衝撃的な転校生の登場ばかり気が回ってしまい、それどころではなかったこともある。


 しかし、次の担任教師が発した言葉に誰もが釘付けになった。そこにいた誰もが予想だにしなかったのだ。

 

 佐々木奈江が亡くなったということを。

 もうさっきのような高揚感はない。あるのは、昨日と同様、張り詰めた空気と疑心だけだった。また、クラスメイトたちは、互いの顔を見合って、本物か偽物か判別している。そんなことをしても意味がないと、もうわかっているというのに。


 ――黒沢美咲。

 誰の声かまでは判別できなかった。けれども、しっかりとその内容はクラス中に届けられた。ばらばらに動いていた視線が一点に集中する。


 やはり、今日学校に来るのはタイミングが悪すぎた。もう揺るぎない事実でも見つけたかのように、疑念の矛先は美咲の方へと向けられた。


 確かに、傍から見れば、邪魔者を排除してから学校に来たという風に見えるだろう。しかし、大河は知っている。美咲は邪魔者を排除しようなんてことは考えてすらいないし、誰よりもNISEMONOに向き合おうとしている。ただ、このことをどれだけ道筋を立てて真剣に話したところで、意味がないだろう。


 それほど、クラスメイトたちの視野は狭くなっていると、大河は感じ取っていた。目の前にあるエサになんの躊躇もなく突っ込んでいるような状態だ、と。


 とりあえず、今わかっている事実をまとめよう。自分自身の記憶の欠落、第二の犠牲者、美咲への疑念。そして、このタイミングで来た転校生。


 どれもが偶然とも考えられたが、大河はそう思わなかった。偶然は必然の上で成り立っている。きちんと、抜け道のような糸はどこかにぶら下がっているものだ。あとは、それを見逃さず見つけられるか、見つけられないかの差である。


「今日の欠席は加賀と井口と山本か、多いな」

 休んだ人を口に出しながら出席簿に書く担任教師の癖が、大河をどきりとさせた。間違えなくこの順番で来ると次は萌絵だろう。もし、仮に萌絵がNISEMONO側ではないのなら、チャンスかもしれない。


 大河はまた情報屋に少々頼ることを決心した。





 ホームルームが終わると、一人の女子生徒が教壇に立っていた。


 彼女は神谷(かみや)麗子(れいこ)だ。麗子は中学校時代から美咲のことを露骨に嫌っていて、木村綾子に次ぐ問題児だった。彼女にとって、綾子がいなくなった今、動きやすくて仕方がないのだろう。


 威勢の良い声はクラス中に響いた。


「ねえ、この中にNISEMONOっていう怪物が混ざっているようだから、あたしたちで探し出さない?」

 挑戦的な目つきは明らかにたった一人に狙いを定めていた。


 クラス中の不安は妙な一体感を生み、歓声を上げた。その中で、美咲を筆頭に大河、蓮と陸斗、転校生の奏子と、クラス委員の清水(しみず)真子(まこ)と、あともう一人、本を読んでいる佐竹(さたけ)美香(みか)は関心を示さず傍観していた。


 この状況で何も関与しないという姿勢を貫いていることはとても賢い判断である。だって、必ずしも正義が勝つとは限らないのだから。そんな見せかけの正義感にとらわれるより、時が過ぎるのを待つほうが賢明だ。


 大河は美咲の方に視線を向ける。美咲はやはり平然としていた。やれるものなら、やってみろよという声が聞こえてきそうだ。


 それから、名ばかりのNISEMONO探しはクラス内で始まった。

 推理という推理は全くされず、ただただ、美咲にたどり着きそうな内容を並べ、哀れみの視線を美咲に送るという、なんとも言えない行為は一時間目から三時間目まで続いた。


 その間に、美咲は机の上にNISEMONOという落書きをされたり、授業中に消しゴムのカスを投げられたりされていた。


 それらに対して、大河は見て見ぬふりをした。いつも通りだ。こうやって、少しの間だけ目をつぶって自分だけは共犯ではないと言い聞かせる。これはしょうがないことで、こちらとしては合理的な判断をしているだけなんだ。

 

 みんなわかっている、この状況が何をしても変わらないということを。あの真面目なクラス委員長ですら何も言わず傍観しているのだから。


  でも、人間とは不思議なもので、そんな合理的な道筋を飛び越えていこうとするやつは必ずクラスの中に一人はいるものだ。


「証拠もないのに、やめようぜ……そういうこと」

 陸斗の声はクラス中に響き渡った。


 彼は本当に時々、大河を驚かせる。陸斗の言葉を聞いて大河はどこかほっとした。もうこれで、名ばかりのNISEMONO探しは終わる。


 クラス内での役割というのは自然といつの間にか出来上がっていくもので、陸斗はその中でも中心的な存在だった。普段は誰でも構わず話しかける社交的な雰囲気と、嘘をつけない真っ直ぐな性格が、クラス全体からの信頼を得ていた。


 陸斗が放つ言葉には裏の意味を考える必要がない。だからこそ、その言葉をそのまま受け止めることができる。馬鹿と天才は紙一重というのはこういう事を言うのだろう。


「だって、殺されるかもしれないだよ。ちょっとでも抗いたいって思うのが……普通じゃない」

 麗子は下を向いて震えていた。そうだ、みんな怖いのだ。昨日、突然降って湧いたようにNISEMONOという脅威が現れ、クラスメイトが死んでいくという現実。


 いくら陸斗の言葉であっても、緩和できないことはあるのかと、大河は事の成り行きを傍観していた。


「そっか。でも、俺ならどうやってクラスメイトを殺されないように守るかって考えるけどな」

 嘘をつけない性格とはずるいものだ。どんなに胡散臭い言葉であっても、心に響いてくる。

 

 彼の正論に対して、誰も反論できなかった。あれほどまで、悪意に満ちていた雰囲気はもうどこにもない。


  そして、アフターケアを怠らない彼はムードメーカーという役割に転じ、みんなを笑わせようとする。そうして、次第にいつもの雰囲気に落ち着いていく。


 そんな陸斗を見ていて、大河は怖くなった。

 どれが本当の彼の姿なのだろうかと思ってしまう。


 明るく馬鹿やっているときの姿なのか、クラスの中心としているときの姿なのか、すぐに感情的になってしまうときの姿なのか。どれも正解なのだが、どうもしっくりこない。


 陸斗なら、何色でもなれてしまうのだろう。しかも、それは意図的に行われておらず、自然体で意識せずに行われている。まるで脊髄反射のようにその状況に応じて、姿を自由自在に操る。それは誰にも感じ取れないほど、すんなりとこれはそういうものだからと、受け入れられている。もちろん、それらは信頼からなるものだとわかっているけど、大河はとてもそのことが恐ろしかった。


 だから、どうしても頭の中で照らし合わせてしまうのだ。色々な者へと変化していくNISEMONOのイメージと。


 また、あのときの顔が浮かぶ。顔のパーツがバラバラになっていたものが、瞬時に元あった場所へと戻っていく様を。


 大河は陸斗の姿を目で追う。

 大河の中にあるいつもどおりの陸斗でそっと胸を撫で下ろす。


 そういえば、彼が一度だけクラスの役割を果たさなかったことがあった。いや、別に強制されていることではないのだから、果たさなかったという表現はおかしいかもしれないけれど。それにしても、無関心だったように感じる。


 その事件は、半年前にあった美咲と綾子の一連の騒動である。そのときは、一切、陸斗は関わろうとはしなかった。珍しく傍観者という立場を選択していた。

 彼の中で何か基準でもあるのだろうか。


「やっぱり、陸斗はすごいやつだよな」

 蓮は陸斗の方を見つめ、しみじみそう言った。


「だね。到底、僕には真似ができないよ」


「大河は大河らしくていいけどね。何も一切関係ありませんみたいな顔していて」


「いや待って、それは蓮も同じだろう?」


「そうかもね」

 そう言って、蓮は鼻を鳴らして笑う。

 皮肉なものだという声が聞こえてきそうだ。

 大河はそういえばと、さっき蓮に訊こうとしていたことを尋ねる。


「ちょっと加賀さんについて訊きたいことがあるんだけど、いい?」


「何、急に? もしかして……」

 蓮は少しニヤつきながら言った。

 これはまた厄介な解釈が含まれているなと感じて、きっぱりと否定する。


「安心して、蓮が思っているようなことではないから」


「大河はこういう冗談本当に乗らないよな。でも、ごめん加賀さんについては全く知らないんだ」

 蓮はお手上げだと言っているように、手をひらひらと掲げた。


「珍しい、情報屋でも知らないことがあるんだ」


「そりゃ、ね」

 蓮はそのあと小声で何か言ったようだったが、よく聞こえなかったし、どうせ訊いたところで、何でもないと返されることだろう。特に、蓮の場合は。


「ねえ、蓮はNISEMONOのことどう思う?」

 蓮はメガネを拭きながら、目だけをこちらに向けた。


「どうも思わないよ。俺は情報が知りたいだけで、自分自身の意見はたいしたものを持ち合わせていないのだよ」


「そっか。じゃあ、NISEMONOの可能性が高い人とかわからないということだよね?」


「そういうこと。推理や論理は専門外なので」

 そうあっさり答えられてしまうと、そういうものだと受け止めることしかできない。別に蓮の答えに期待していたわけではない。ただ、どこまでを知っているのか、そこらへんのさじ加減を知っておきたかった。


「あっ、でもあいつだけは気をつけたほうがいい」

 蓮がそう言って、親指を奏子の席の方へと向けた。


 記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっている大河からすると、奏子は普通の女子高生にしか見えない。到底、人殺しをしたという雰囲気なんて感じ取れやしない。だから、そもそも何に気をつけるべきなのか、わからなかった。


 でも、そのことをそのまま言葉にすると、また問題が生じるので、大河はとりあえず頷いた。


 その様子をみて、蓮も頷き、四時間目の始業の鐘が鳴った。






 今日は午前授業だったから、NISEMONOについて色々と調査する予定だったのだが。


「なんで僕まで行かないといけないんだよ」

 大河は小声で不服なことを陸斗に伝えた。


「だって、俺だけだったらなんか気まずいし、そうだ、ほら、NISEMONOについてなんか訊けるかもしれないだろ」と、言いながら、もうすでにカウンセリングルームと書かれたドアをノックしていた。


「はーい!」

 柔らかな口調がドアの内側から聞こえてくる。そして、陸斗は失礼しますと言って、ドアを開ける。


 こうなってしまっては引き下がるわけにもいかないので、仕方なく陸斗の付き添いをするとしよう。本当は色々と自分の中で整理がついてから、律子の元を訪れようと思っていたのだが。


「あら、陸斗くんと大河くんこんにちは」

 昨日のことなんか忘れてしまったのではないかと思うほどの歓迎ぶりだった。何かあってもこうやって受容の姿勢を貫く技術はさすがだと、大河は感心した。


「昨日はすいませんでした! つい、頭に血が上ってしまって」

 陸斗は学校中に響くほどの声で謝罪の意を律子に伝えた。そして、深々と頭を下げる。

 それに倣って、大河も頭を下げる。別に頭を下げるほどのことは何もしていないのだけれども、どうも律子の顔をずっと見ていられなくて、ついそうしてしまった。


「いやいや、二人共顔を上げて、謝るのは私のほうよ。昨日は少し、言い方がきつくなってしまったわ。ごめんなさい」

 こうやって、互いに和解したところで、陸斗は本題だと言わんばかりにNISEMONOについて調べていることを律子に告げた。


「そうなの。もしかして、陸斗くんたちは今回の一連の事件をNISEMONOのせいだと思っていたりするのかしら」

 心理学という学問がどういう内容まで含まれているか詳しくは知らないが、父も律子も相手の意図していることを当てるのがうまい。人心掌握の内容まで学ぶのだろうか。


「ええっ! 律子さんすごすぎーなんでわかったんですか」

 陸斗の驚く様子があまりにもおかしかったので、大河と律子は思わず笑ってしまった。


 NISEMONOについて調べていると告げた時点で、どうして調べるのか動機を考えるのが普通で、一連の事件とNISEMONOを結びつけるという発想は難しくない。


 陸斗は考える前に行動に出てしまうから、その神経回路がどこか普通の人と違うだろうなと、大河は思った。

 

 律子はそうでしょうと、笑ってみせてから、大河の方へ視線を向けた。


「大河くんはなんかわかったこととかあるの?」

 視線をうまく避けながら、できるだけ当たり障りのない内容をと口を開く。


「わかったというまでではないですけど、NISEMONOは一種のマインドコントロール的なものではないかなと思いました。入れ替わったという現象はとても主観的なことですし、そう思い込んでしまったと考えれば、色々とつじつまが合うかなと」

 陸斗は頷いているが、理解はしていなさそうだ。

 律子はなるほどと言ってから、ではと切り返す。


「どうして、生徒たちを殺す必要があったのだろうか」

 優しい口調に似合わない物騒な単語が耳に触れると、妙にむずむずした。

 動機はある程度、見当がついていた。


「おそらく、マインドコントロールが切れてしまったら殺していたということではないでしょうか?」


「つじつまが合うね」

 陸斗が横から共感する。

 律子はしばらく、腕を組んで唸ってから、口を開いた。


「大河くんはちなみに、マインドコントロールと洗脳の違いはわかる?」


「なんとなくですが、洗脳は強制した上で相手をコントロールすることで、マインドコントロールは強制せずに相手をコントロールすることですかね」

 律子はだいたいそうね、と言って言葉を続ける。


「確かに、その説はありえる。けれど、相手をマインドコントロールするにはある程度の知識と手間が必要なのよね。つまり、短時間で、多くの人を巻き込んでいるこの事件でマインドコントロールを使うということはかなり難しいと思うのよ」

 核心に迫ったことを告げないから、どうも表面上の会話ばかりで大河はあまり乗り気になれなかった。


 律子の言ったことは大河もよく理解していた。だから、この考えはあくまでも一つの可能性として頭の片隅に置いていた。


「それに、一つだけどうしても、説明ができないことがあるじゃない?」

 律子の顔が歪む。

 その様子を見て、大河はおそらくあれのことだろうと、口を開く。


「死亡推定時刻ですね」

 律子はゆっくりと頷く。そして、額に手を当てて、ため息をついた。


 死亡推定時刻と綾子たちが生きていたとされる時間を照らし合わせると、あらゆる矛盾点が生じる。それは大河がどれだけ頭を捻っても、説明できない事柄だった。相手は未知の化け物だからしょうがないと割り切りたいところだが、そうもいかない。


「死んでいるはずの人間が生きているように見せかける方法なんて存在しないですよね」


「そうね、私が知っている限りではそんな高度な技術は知らないわ」

 律子は手元に視線を落とす。

 大河は視線を窓の外へと向けた。律子の後ろにある窓から、美咲と奏子が一緒に歩いている姿が見えた。そういえば、律子は美咲が学校に来ていることを知っているのだろうか。


「そういえば、黒沢さん今日学校に来ていましたね」

 もうそこにはいない美咲がまるでそこにいるかのように窓の外を見つめ、大河は言った。


「本当に? それはよかった。美咲さんにいつでもここに来て大丈夫だって伝えてあげて」

 律子は今日一番の笑顔を浮かべた。本当に心の奥底から喜んでいるということは伝わってくるが、どうも昨日のことを思い出していまい、素直に受け止められなかった。


 どうしても、頭によぎってしまうのだ。なぜ、律子は美咲の家を訪れたのだろうか、と。

 ずっと黙っていた陸斗がおもむろに口を開いた。


「ちょっと一つ気になったんですけど、どういう人がNISEMONOの標的になると思いますか?」

 陸斗の突拍子もない問いにも、律子は笑顔で答える。


「そうね。やっぱり、影響力のある人に惹かれるんじゃないかしら。なぜなら、入れ替わったあとに動きやすくなるかね。おとなしくて、静かな生徒に入れ替わっても、そのあとが大変になるだろうし」

 そうか、そうかもしれない。思い返してみれば、NISEMONOの標的になった人たちは良い意味でも悪い意味でも影響力をかなり持っていた。つまり、影響力のある人物だけを注意すればいいのではないか。


「となると、俺が危なかったりして」

 冗談を言って、一人で笑っている陸斗に軽蔑の眼差しを送ってから、少し気になることを律子に尋ねる。


「ちょっと話がずれるんですけど、一部の記憶がすっぽり抜け落ちることって現実的にありえますか?」

 律子の落ち着いていた雰囲気は途端に崩れ、動揺の色を示した。その変わっていく様が、大河の心をざわつかせた。やはり、自分には知らなくてはいけないことがもう一つあるのだと思った。


 ――その空白の記憶が埋まったら、一体どんなことが待っているのだろうか。

 律子は一瞬目を泳がせてから、ゆっくりと喋り出す。


 「いや、ごめんなさい。前にも似たことを訊かれたことがあって……ちょっとね」と言って、一つ微笑みを挟んでから、再び口を開く。


「結論から言えば、あるわ。例えば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やストレス性記憶障害(ASD)とかが当てはまるわね。脳に直接外傷がなくても、その出来事が自分にとって……あまりにも……衝撃だったりするとなるわね」

 隠したい動揺が隠しきれていないようだった。それに、言葉も丁寧に意識しているようで、いつも以上に口調もやんわりとしている。核心に触れないように黒い部分を白い欺瞞で大事に隠そうとしていた。


 陸斗も律子ではなく大河を見つめていた。

 大河は心の中で一つ息を吐く。


 これではっきりとした。この記憶の欠落は何かの出来事がきっかけで起こってしまったということ。そして、そのことをひた隠しにされているということ。


「まあ、そうそうそういう記憶障害は起きないし、起きても一過性のものだろうね。それに、記憶の抜け落ちはものすごくテスト勉強したのにテスト本番になると、忘れてしまうくらい日常的に起こりうるものだから……」

 そう言って、安心してという心の声が聞こえてきそうなほど律子は微笑んだ。


 おそらく、これ以上何か訊いても堂々巡りになるだろうから、もうやめておこうと、喉元まで出かかっていた言葉を飲み込み、大河は頷く。


 さて、そろそろ帰ろうかと立ち上がった時だった。

 大河のポケットに入っているスマホが鳴り響いた。



 大河は一度、家に帰って荷物を置いてから、指定された公園へと向かった。


 それにしても、なぜ萌絵は携帯番号を知っていたのだろうか。腑に落ちないところもあったけど、それ以上に彼女と接触できるということのほうが大河にとって大きかった。


 それが、たとえ罠だったとしても。

 案外簡単にというか、以前、綾子に呼び出された時の公園と同じだったから、迷うことなくすんなりとたどり着いた。


 ここは、木々に囲まれていて夕方にもなれば真っ暗になってしまう。暗くなればNISEMONOの思うツボだろうから、その前に彼女の要件を済まさなければならない。


 あたりを見渡しても、まだ萌絵の姿はなかった。

 大河は近くにあったベンチに腰をかけて、スマホを取り出す。


 時刻は十五時七分。まだ、日は沈んでいないが、あたりは薄暗くなりつつある。

 大河は萌絵との通話のことを思い返す。とても慌てているようでもあり、それが演技だったようにも感じた。どちらであっても、NISEMONOに接触できる可能性が高くなるはずだ。


 それから、数分ほどで萌絵は姿を現した。

 大河は念のため、百当番のダイヤルに合わせた状態でスマホをポケットの中にいれ、手も一緒に突っ込んだ。


 秋のひんやりとした風すら感じなくなり、口の中がいやに乾いていく。

 決戦だ、と大河は心の中で呟く。

 先手を打ったのは大河だった。


「加賀さん、大丈夫?」

 そう言って、大河は怪訝な表情を浮かべる。


 元々頭の中で用意していた言葉だったけれど、萌絵の頭の包帯や口元を隠すようにつけられたマスクのおかげで、より自然な表現になった。


「大丈夫、ちょっと色々あったから」

 萌絵の声に神経を張った。何かいつもと変なところはないかと、探ってはみるけれども、そのいつもの状態もあまり覚えていない。

 一通り、頭のてっぺんから足の先まで見たところで、大河は口を開く。


「それなら家で寝ていたほうがよかったじゃないですか」

 彼女との距離は三メートルくらいといったところだろう。何か怪しい動きを見せたら、すぐ警察に連絡できるくらいの余裕はありそうだ。


「いや、桐生にどうしても伝えたいことがあって……NISEMONOについてはもう知っているだろ?」


「うん、知っているよ」

 ――昨日ね、そのNISEMONOに襲われたんだ。


 大河の鼓動は一気に最高潮まで達した。やはり、彼女と接触して良かったと心の中で渦巻く高揚感を抑えて、冷静を繕う。


「ごめん、詳しく話を聞く前に、ひとついい?」

 萌絵は頷く。


「どうして僕に伝えようと思ったの? この相談は誰だって良かっただろうに」


「桐生は中学生の頃、NISEMONOについて調べていたでしょ? もしかしたら何か役に立つかなと思って。まあ、本音はこの状況をどうにかして欲しいっていうのが一番だけど。もう、襲われたくないし……」

 大河は唖然としていた。中学生の頃に、NISEMONOを調べていたという事実は初耳だった。確か、NISEMONOを知ったのは半年前。学校の屋上で、美咲から教えてもらった。


 空白の記憶は、もしかしたらNISEMONOに関してのことなのかもしれない。そうだとしたら、これは記憶を取り戻すことが解決への糸口に繋がる可能性がある。


「どうしたの?」


「いや、ごめん。そんな昔のことよく覚えているなと思って。じゃあ、襲われたときのことを詳しく教えてもらえない?」


「――いや、そんな必要はない」

 ポッケトに入れてきたメモ帳を取り出そうとしていた大河の手が止まる。


「うん? それはどういうこと?」


「だって、見たんだもん。NISEMONOの正体」

 萌絵の表情はマスクの裏側に隠されていてよくわからないけれど、目が鋭く、そう猛獣が獲物を捕獲するときの目だった。


 だから、すこし鎌(かま)をかけてやろうと思った。

 ほんの少し、油断が見えた一瞬にこの言葉を突きつけてやろうと決めていた。狙いを定めた猛獣は自分の背後のことなんて気にしていない。


「加賀さん、あなたがNISEMONOでしょう?」

 大河は冷たく、どこまでも落ちていくような声で言った。


 その不意打ちの中で、相手の粗を探す。

 大河は萌絵のあらゆるところに視線を向けた。目の動き、手の動き、マスク越しから伝わってくる息遣い。


 でも、萌絵はNISEMONOではないのか、もしくは相当の精神力の持ち主なのか、何一つ動揺を見せず、結局収穫はなかった。いや、彼女がNISEMONOではないという証明にはなったのかもしれない。


 萌絵は手を擦り合わせてから、口を開く。


「いや、私は被害者だから」


「ごめん、ちょっと用心してね。無礼なことをしてしまい申し訳ない」

 彼女は構わないわと言ってから、空を見上げた。


 その様子を見て、大河も肩の力を抜く。さっきまで聞こえていなかった子どもたちのはしゃぐ声に気がつき、自分がどれほど集中していたかわかる。


「ねえ、あんたさ……黒沢美咲と仲良かったよね?」

 おもむろに萌絵は言った。


 まだ、萌絵の視線は空の遥か向こうを見つめている。もしかしたら、彼女には何か見えているのかもしれない。


「仲良かったのかな……正直、よく分からないんだ」

 確かに、仲良かったのかもしれない時期はあったけれど、自信が持てなかった。あれはそういう関係だったのだろうかと、つい考えてしまう。


「だったら、言いやすいかも」

 強い風が紅葉を揺らし、葉同士の擦れる音が萌絵の言葉を遮った。


 そして、大河に聞こえた言葉は……。

 ――NISEMONOは、黒沢美咲よ。


 そこからのことはよく覚えていない。どうやって、萌絵と別れて、いつあの薄暗い公園から出て、家路に着いたのか。


 気づいたときには、自宅のベットの上で白く揺れる蛍光灯を見つめていた。

 この事実をどう咀嚼し、どこに矛先を向けたらいいのかわからない。たらればの話をするのであれば、昨日彼女の家に行った時にもっと迫るべきだった。


 美咲の言葉一つ一つが鉛のように重くのしかかり、そして思考を協力という方向へと捻じ曲げられてしまった。考えれば考えるほど、後悔が残る。


 そうか、今日学校に来たのはタイミングが悪かったのではなく、わざとあのタイミングで来たのか。


 画面に百当番と表示されたままのスマホを握り締める。でも、このまま彼女を手放して良いのだろうかと迷っている時だった。


 スマホの画面に着信と表示され、その名前の部分に黒沢美咲とあった。

 大河は体を勢いよく起こし、息を呑む。

 恐る恐る着信ボタンをスライドさせる。


『きみは電話に出るのが遅すぎるね』


「……」


『もしもしー聞こえていますか?』


「……」

 彼女の声を聞くと、怖くて言葉が出てこない。


 美咲は一つ大きなため息をついてから、じゃあ要件だけ伝えるねと言って話し始める。


『さっき、私は加賀萌絵に会ってきた。それで、きみがNISEMONOだと言いはっていたのだが、きみは彼女になんかしたのか? ということを訊こうと思って電話をかけた』

 

 生きている心地がしなかった。今までの萌絵との出来事を振り返る。あらゆる点が線で繋がっていき、大河は言葉を発する。


「僕も、さっき加賀萌絵に会っていたんだけど……」

 通話越しでも、美咲が絶句していることが伝わってきた。


『ちょっと待ちたまえ。きみはいつごろ彼女と会っていた?』


「本当に、ついさっき……」

 そう大河が言うと、キーボードを叩く心地の良い音が聞こえてきた。そして、その音が止まって、クリック音が二回したあと、しばらく音がしなくなった。


 嫌な予感が大河の鼓動をどんどん早くさせる。


『今日の十七時ごろ、女子高生の遺体が発見された。発見された遺体には頭部がな

く、一連の事件との関連性を調べている……被害者の名前は……加賀萌絵。死亡推定時刻は、昨日の二十二時から二十四時の間と見られている。これって……』

 スマホを握る手のひらが汗ばんでいく。どこだ、どこかに手がかりはなかったかと、大河は必死に記憶を掘り起こす。


 けれども、どこもおかしいところなんてなかったし、大河が鎌をかけた時も、動じることはなかった。


「彼女は――NISEMONOだった」

 事実を受け止めようと言葉に出してみたはものの、たいした意味も持たず余計に自分自身を苦しめた。


『私は全然わからなかった。NISEMONOってこんなに気持ちわるいんだ……』

 美咲はうろたえていた。無理もない。大河はこれで二回目だけれども、美咲は初めてなのだから。


 といっても、綾子のときは不意打ちを食らったようなものだから、衝撃はあってもダメージはそれほどなかった。大河も初めて、騙されたという感覚を味わっていた。


 今回はちゃんとNISEMONOの可能性があると思って、向き合ったはずなのだ。それなのに、結果的に前回と同じ形になってしまった。


『少しリスキーだけど、もう少し目を増やす必要があるかもしれない』

 彼女はもう次を見据えていた。


「それは博打ですね。増やすといっても、誰かいますか?」


『きみのお友達二人とか』


「陸斗と蓮のこと?」


『そう、その二人にも手伝ってもらう』

 あまり仲間を増やすことに賛成ではなかったが、あの二人なら大丈夫かと渋々許可した。


『ありがとう。じゃあ、明日から作戦を練ろう。きみは父親からできるだけ情報をもらっておいてくれ』


「わかりました」

 大河が喋り終わる前に、通話は切れていた。どこまでも美咲らしいなと大河は思った。


 また、ぼんやりと天井を見つめる。

 そういえば、どうしてNISEMONOは自分と美咲を殺さなかったのだろう。NISEMONOにとって脅威となる二人を早々と消したほうが動きやすいのではないのか。


 それとも、今は消したくない理由でもあるのだろうか。

 そんなことを考えているうちに、大河はいつの間にか眠ってしまっていた。

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