Trick so Treat
聖女親衛隊員にいたずらした後、彼はおとなしくお菓子を買いに行った。
ハロウィンの日は仮装してお菓子を買いに行くといつもより安く手に入れることが
できる。だからお菓子売り場でも仮装した人々がたくさんいた。
彼がお菓子を買って、家に帰ると、女が彼におかえり、と出迎えた。
この女は日付が我々でいう十月になった頃の夜、そろそろ寝ようとホットミルクを飲んでいた彼のもとに訪ねてきた。なんでも婚約者に処女じゃないという理由で拒絶され、ここへ来たらしい。
で、今、この女はいつもの白いワンピースではなく、露出度の高い小悪魔の仮装をしている。
頭には小ぶりな二本角がついたカチューシャ、上は背中に黒く刺々しい翼がついた黒のへそ出しベアトップ、下は黒い矢印のような尻尾がついた黒のハイレグパンティー、
さらに黒のガーターベルトと黒のガーターストッキングに赤いヒール靴。
要するに、よほど勇気というかなんというかが無いと外を歩けない格好である。
「……そっちにしたんだ」
ハロウィンの数日前、彼が女に何の仮装がいいか聞いたところ、女はなんでもいいと答えた。それで彼はハロウィンの朝、この衣装と露出度の低い仮装を用意し、自分が帰ってくるまでにどっちを着るか決めてと言った結果、女は露出度の高い方を選んだのだ。
「ど、どう?」
「似合ってるよ、すごく。……だって今のキミにぴったりなのを考えたんだもん」
女の問いかけに彼は微笑を浮かべながら答えた。
彼がお菓子の袋をテーブルの上に置いた後、チョコバーやウィスキーボンボンなどをいくらか取り出して近くの椅子に座り、女は彼の向かいの椅子に腰かけた。
彼が手近にあったウィスキーボンボンの包みを解こうとしたところ、女に声をかけられた。
「ねえ、チョコレート系多くない? バレンタインでもないでしょうに……」
彼はボンボンの包みを開けながら、んー、と考えた。それから包みから出てきた
瓶型チョコの細い部分を口にくわえ、こう答えた。
「なんとなくチョコが食べたかったんだよね」
「そ、そう」
女はそう言った後、ウィスキーボンボンを二つ開け、それらを噛み砕いた後、チョコバーの包みを開けた。女がバーをじっと見つめた後、それをほおばり、切なげな表情でしゃぶりついた。しかも、ウィスキーボンボンで酔ってか、顔を赤らめ、
時折、んっ……と甘い声を上げた。
彼は女の行動に軽く前かがみになりながら、「お、おいしい……?」と聞いてみた。女はバーをくわえたまま
「ボ、ボクちょっと出……、ん?」
彼が席を立とうとするが立てない。ひざ下は自由に動かせるのだが、ふとももが上がらないのだ。
女はそんな彼のふとももに跨り、強引に彼の舌と自分の舌を絡ませた。
二人の舌を繋いだ透明な糸が切れて、なんのつもり、と尋ねた彼の耳元で
女はこう囁いた。
「Trick so Treat. お菓子くれたからいたずらするの」
このあと、二人は滅茶苦茶
Trick ? Treat 霜月二十三 @vEAqs1123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます